学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ24A025
理由で解く 柔道整復師
上腕骨顆上伸展型骨折は骨折ですから、骨折の固有症状である軋轢音(骨折端がこすれ合う音・感覚)が触知されます。外観は肘関節後方脱臼に酷似しますが、ヒューター三角が保たれる点で鑑別できます。
顆上部は上腕骨遠位の骨幹から骨端へ移る部分で、前後に扁平で細く、力学的に弱い場所です。学童期に手をついて転倒し、肘が過伸展されると遠位骨片が後上方へ転位する伸展型となり、これが顆上骨折の大部分を占めます。遠位骨片が後方へ上がるため、肘頭が後方に突出し、上腕は短く見え、外観は肘関節後方脱臼と紛らわしくなります。しかし骨折線はヒューター三角を構成する3点(上腕骨内側上顆・外側上顆・肘頭)よりも近位にあるため、3点そのものは転位せず、位置関係は正常のまま保たれます。ここで注意したいのは、三角が乱れるのは肘関節脱臼だけではないという点です。3点そのものがずれる上顆骨折(内側上顆骨折・外側顆骨折)や顆部(顆間)骨折でも三角は乱れます。「乱れる=脱臼」と丸暗記するのではなく、「骨折線が3点より近位にとどまるか、3点そのものが動くか」で判断してください。加えて骨折であるがゆえに異常可動性と軋轢音があり、これも脱臼との違いになります。前方を走る上腕動脈・正中神経の損傷やフォルクマン拘縮の危険が高い骨折なので、橈骨動脈の拍動、手指の色調・感覚・自動運動を必ず確認し、異常があれば固定を緩めて肢位を整え、直ちに医師へ紹介します。
| 比較項目 | 上腕骨顆上骨折(伸展型) | 肘関節後方脱臼 | 上顆骨折・顆部(顆間)骨折 |
|---|---|---|---|
| 好発年齢 | 学童期(小児) | 青壮年 | 内側上顆骨折・外側顆骨折は小児、顆間骨折は成人〜高齢者 |
| 受傷機転 | 手をついた転倒+肘の過伸展 | 手をついた転倒+肘の過伸展 | 肘への外反・内反力や筋の牽引力、肘頭部への直達外力 |
| ヒューター三角・線 | 保たれる(骨折線が3点より近位) | 乱れる(肘頭が後上方へ移動) | 乱れる(三角を構成する3点そのものが転位) |
| 軋轢音・異常可動性 | あり | なし | あり |
| 弾発性固定 | なし | あり | なし |
| 長さの変化 | 上腕長が短縮、前腕長は正常 | 前腕が短くみえる | 上顆骨折では目立たない。顆間骨折では上腕長が短縮しうる |
| 肘頭の位置 | 後方へ突出(骨片ごと後上方転位) | 後上方へ突出 | 骨片の転位に従って偏位(顆間骨折では肘部が横に広がる) |
| 合併症で注意 | 上腕動脈・正中神経損傷、フォルクマン拘縮 | 尺骨神経損傷、内側側副靱帯損傷、骨折の合併 | 内側上顆骨折は尺骨神経損傷、外側顆骨折は偽関節・外反肘・遅発性尺骨神経麻痺 |
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