学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §45 柔道整復理論 / QJ24A023

理由で解く 柔道整復師

QJ24A023 必修問題

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午前 問23
問題
顎関節前方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 頬部の外観が扁平となる。
2 開口が不能となる。
3 弾発性固定が不明瞭である。
4 関節包前方が断裂する。
解答
正解1(頬部の外観が扁平となる。)
解説

顎関節前方脱臼では下顎頭が関節結節を越えて前方に移り、口を開けたまま閉じられなくなります。下顎全体が前下方へ押し出されるため顔は長くなり、頬部は平坦にみえます。

あくびや大笑い、歯科治療などで大きく開口したときに、下顎頭が関節結節を乗り越えます。ここで下顎頭を前方へ引くのは外側翼突筋(下頭)で、そこへ咬筋・側頭筋といった閉口筋の反射性攣縮による挙上力が加わるため、下顎頭は関節結節の前方に押し上げられたまま固定され、自力では戻れなくなります。下顎窩が空になるので耳の前方に陥凹を触れ、下顎が前下方に転位した結果、顔貌は長く、頬部は張りを失って扁平にみえます。両側性では下顎が前方へ突出して上下の前歯が咬み合わず(開咬)、流涎や言語障害を伴います。片側性ではオトガイが健側へ偏位します。いずれも閉口させようとすると弾力のある抵抗があり、力を抜くと開口位に戻ります。

✓ 1. 正しい
頬部の外観が扁平となる。
下顎頭が下顎窩から前方へ抜けて耳前部が陥凹し、下顎全体が前下方に転位するため、顔は長くなり頬部は平坦に見えます。左右差の確認は耳前部の陥凹とオトガイの位置を合わせてみると確実です。
✗ 2. 誤り
開口が不能となる。
逆で、開口したまま閉口ができません(開口位固定)。「口が開かない」タイプの障害は顎関節症、下顎骨骨折、破傷風などで考える所見であり、前方脱臼と取り違えないようにします。
✗ 3. 誤り
弾発性固定が不明瞭である。
閉口させようとすると弾力のある抵抗があり、手を離すと元の開口位に戻ります。弾発性固定は明瞭で、脱臼を裏づける重要な所見です。
✗ 4. 誤り
関節包前方が断裂する。
顎関節は関節包がもともと緩いため、下顎頭が関節結節を乗り越えても前方の関節包は弛緩するだけで、断裂は通常起こりません。引き伸ばされるのは後方部(円板後部組織)で、「関節包前方が断裂する」は誤りです。なお他の関節では、骨頭が抜け出た側の関節包が破綻することが多く(肩関節前方脱臼=関節包前下方、肘関節後方脱臼=前方、股関節後方脱臼=後方)、顎関節は関節包が緩く断裂を伴わない例外として整理します。
ポイント
  • 前方脱臼=開口位で弾発性固定。閉口不能であって開口不能ではない。
  • 耳前部に陥凹、頬部は扁平、顔貌は長くみえる。
  • 両側性は下顎前突と開咬・流涎、片側性はオトガイが健側へ偏位。
  • 関節包は緩いため前方は弛緩するのみで断裂は通常伴わず、伸展されるのは後方部(円板後部組織)。他関節は骨頭が抜け出た側の関節包が破綻するのが原則で、顎関節はその例外。
  • 下顎頭を前方へ引くのは外側翼突筋(下頭)。咬筋・側頭筋は閉口筋で、攣縮による挙上力が固定に加担する。
  • 整復はヒポクラテス法(両母指を下顎臼歯部に当て、下方へ圧下→後方→上方へ誘導)。整復後は大開口を避ける指導と包帯固定を行う。
比較表
項目両側性前方脱臼片側性前方脱臼
下顎の位置正中を保ったまま前突オトガイが健側へ偏位
咬合開咬(前歯が咬み合わない)患側でとくに咬合できない
耳前部両側に陥凹患側のみ陥凹
共通所見開口位で弾発性固定、閉口不能、頬部は扁平、流涎・言語障害
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。