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理由で解く 作業療法士

QO57A012 作業療法治療学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午前 問12
問題
26歳の男性。C6レベルの頸髄損傷完全麻痺。仕事中の事故により受傷し入院。翌日からリハビリテーションが開始され継続している。受傷後1か月での徒手筋力テストの結果を表に示す。 受傷後2か月で到達可能と予測される動作はどれか。 長短橈側手根伸筋 3 円回内筋 2 腕橈骨筋 4 上腕二頭筋 4 上腕三頭筋 0
図
選択肢
1 更衣
2 自己導尿
3 プッシュアップ
4 万能カフを用いた食事
5 ベッドから車椅子への移乗
解答
正解4(万能カフを用いた食事)
解説

C6完全麻痺の鍵は手関節背屈(長短橈側手根伸筋)。表でも同筋はMMT3で抗重力域に働く一方、C7の上腕三頭筋は0で肘の随意伸展ができない。受傷後2か月の到達目標は、手関節背屈を使う万能カフでの食事。

受傷後1か月のMMTを読むと、腕橈骨筋4・上腕二頭筋4と肘屈曲は良好で、C6のkey muscleである長短橈側手根伸筋も3(重力に抗して自動運動が可能)である。一方、円回内筋は2、C7のkey muscleである上腕三頭筋は0で、肘を伸展位で支える力がない。C6レベル完全麻痺の残存像そのものであり、完全麻痺である以上、受傷後2か月の時点で新たに肘伸展が出現することは期待できない。したがって到達可能な動作は、手関節背屈を利用できる範囲に限られる。万能カフを用いた食事は、握力がなくてもカフに固定したスプーンを手関節背屈で口元へ運ぶ動作であり、MMT3の手関節背屈とテノデーシス機構(手関節背屈に伴って手指が他動的に屈曲する)で実現できるため、受傷後2か月で到達可能と予測される(正答4)。これに対し、更衣(1)・自己導尿(2)・ベッド車椅子間の移乗(5)は肘伸展や手指の巧緻性・体幹支持を必要とし、プッシュアップ(3)は上腕三頭筋による肘伸展支持そのものであるから、同筋がMMT0の本症例では到達目標にならない。

✗ 1. 誤り
更衣
自立には肘伸展を担う上腕三頭筋(C7)や座位バランス、手指の巧緻性が要る。上腕三頭筋MMT0の本症例で受傷後2か月の到達目標にはならない
✗ 2. 誤り
自己導尿
カテーテル操作には手指の把持・巧緻動作が要り、C6完全麻痺では手内在筋が働かない。受傷後2か月での到達は難しい
✗ 3. 誤り
プッシュアップ
肘関節を伸展位で支持する上腕三頭筋が必須だが、表のとおりMMT0で機能しておらず実施不可能
✓ 4. 正しい
万能カフを用いた食事
長短橈側手根伸筋がMMT3で手関節背屈が抗重力域まで可能。カフに固定したスプーンを口元へ運べ、テノデーシス機構も利用できるため受傷後2か月で到達可能と予測される
✗ 5. 誤り
ベッドから車椅子への移乗
プッシュアップ動作(上腕三頭筋・C7以上)を要する。上腕三頭筋MMT0では受傷後2か月で自立に至るとは予測しにくい
ポイント
  • C6のkey muscle=長短橈側手根伸筋(手関節背屈)。本例はMMT3で抗重力域まで可能
  • 上腕三頭筋はC7支配。本例はMMT0で肘の随意伸展ができない
  • C6では手関節背屈+テノデーシスを使う万能カフでの食事が到達目標
  • 肘伸展を要するプッシュアップ・移乗・更衣はC7以上が必要
比較表
頸髄損傷レベルとADL目標(完全麻痺)
レベルkey muscle到達しやすい動作
C5上腕二頭筋万能カフで一部食事、電動車椅子
C6橈側手根伸筋万能カフで食事、寝返り一部、自助具で更衣訓練
C7上腕三頭筋プッシュアップ、移乗、車椅子駆動、多くのADL自立
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