学習トップ / 理由で解く 作業療法士 / 第12章 ▸ 実地 / QO57A003
理由で解く 作業療法士

円回内筋まで麻痺した高位正中神経麻痺。手関節を支える長対立装具(Rancho型)と、残存する手関節伸展を使う手関節駆動型把持装具(RIC型)が適応となる。
麻痺筋は円回内筋・長掌筋・橈側手根屈筋・浅指屈筋・深指屈筋(示指中指)・長母指屈筋・方形回内筋に加え、短母指外転筋・短母指屈筋浅頭・母指対立筋の母指球筋群と第1・2虫様筋にまで及んでおり、正中神経が肘より近位で障害された高位正中神経麻痺の像である。その結果、母指対立が失われ、示指・中指の屈曲によるつまみもできなくなる一方、橈骨神経支配の手関節伸筋と尺骨神経支配の尺側手根屈筋・骨間筋は残存している。母指対立の再建には対立装具が必要だが、橈側手根屈筋など手関節屈筋まで麻痺して手関節が不安定なため、手部だけで完結する短対立装具(Bennett型)では支持が足りない。前腕カフまで延びて手関節をまたぐ長対立装具(Rancho型)であれば、対立位の保持と手関節の安定を同時に得られる。さらに、残存する手関節伸展を動力源とする手関節駆動型把持装具(RIC型)を用いれば、テノデーシス作用で母指と示指・中指のつまみを代償でき、麻痺した長母指屈筋や深指屈筋の働きを補える。Thomas型装具は手関節・手指を伸展方向に吊る動的装具で下垂手すなわち橈骨神経麻痺に用いるもの、ナックルベンダーはMP関節を屈曲方向に引く装具で鉤爪手など尺骨神経麻痺に用いるものであり、いずれも本例の対立・把持の再建には結びつかない。よって適応する装具は長対立装具(Rancho型)と手関節駆動型把持装具(RIC型)である。
| 神経 | 変形 | 代表的装具 |
|---|---|---|
| 正中神経 | 猿手(対立不能) | 対立装具(オポーネンス) |
| 尺骨神経 | 鷲手(MP過伸展・PIP屈曲) | MP屈曲保持装具(ナックルベンダー) |
| 橈骨神経 | 下垂手 | コックアップ装具 |
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