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理由で解く 作業療法士

QO57A003 作業療法治療学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午前 問3
問題
50歳の女性。末梢神経麻痺により、円回内筋、長掌筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、深指屈筋(示指・中指)、長母指屈筋、方形回内筋、短母指外転筋、短母指屈筋(浅頭)、母指対立筋、第1・2虫様筋が麻痺している。適応する装具で正しいのはどれか。2つ選べ。
図
選択肢
1 短対立装具(Bennett型)
2 長対立装具(Rancho型)
3 手関節駆動型把持装具(RIC型)
4 Thomas型装具
5 ナックルベンダー
解答
正解2(2)、3(3)
解説

円回内筋まで麻痺した高位正中神経麻痺。手関節を支える長対立装具(Rancho型)と、残存する手関節伸展を使う手関節駆動型把持装具(RIC型)が適応となる。

麻痺筋は円回内筋・長掌筋・橈側手根屈筋・浅指屈筋・深指屈筋(示指中指)・長母指屈筋・方形回内筋に加え、短母指外転筋・短母指屈筋浅頭・母指対立筋の母指球筋群と第1・2虫様筋にまで及んでおり、正中神経が肘より近位で障害された高位正中神経麻痺の像である。その結果、母指対立が失われ、示指・中指の屈曲によるつまみもできなくなる一方、橈骨神経支配の手関節伸筋と尺骨神経支配の尺側手根屈筋・骨間筋は残存している。母指対立の再建には対立装具が必要だが、橈側手根屈筋など手関節屈筋まで麻痺して手関節が不安定なため、手部だけで完結する短対立装具(Bennett型)では支持が足りない。前腕カフまで延びて手関節をまたぐ長対立装具(Rancho型)であれば、対立位の保持と手関節の安定を同時に得られる。さらに、残存する手関節伸展を動力源とする手関節駆動型把持装具(RIC型)を用いれば、テノデーシス作用で母指と示指・中指のつまみを代償でき、麻痺した長母指屈筋や深指屈筋の働きを補える。Thomas型装具は手関節・手指を伸展方向に吊る動的装具で下垂手すなわち橈骨神経麻痺に用いるもの、ナックルベンダーはMP関節を屈曲方向に引く装具で鉤爪手など尺骨神経麻痺に用いるものであり、いずれも本例の対立・把持の再建には結びつかない。よって適応する装具は長対立装具(Rancho型)と手関節駆動型把持装具(RIC型)である。

✗ 1. 誤り
短対立装具(Bennett型)
短対立装具(Bennett型)は手部のみで手関節を支えず、低位正中神経麻痺向き。
✓ 2. 正しい
長対立装具(Rancho型)
長対立装具(Rancho型)は前腕カフで手関節を支え、母指対立位を保持できる。
✓ 3. 正しい
手関節駆動型把持装具(RIC型)
手関節駆動型把持装具(RIC型)は残存する手関節伸展でつまみを代償できる。
✗ 4. 誤り
Thomas型装具
Thomas型装具は手指・手関節を伸展方向に吊る下垂手用で、橈骨神経麻痺の装具。
✗ 5. 誤り
ナックルベンダー
ナックルベンダーはMP関節を屈曲させる装具で、鉤爪手など尺骨神経麻痺に用いる。
ポイント
  • 高位正中神経麻痺=猿手(母指対立不能・母指球扁平)
  • 適応は母指を対立位に保持する対立装具(オポーネンススプリント)
  • 第1指間の内転拘縮予防(C-bar)が目的の一つ
比較表
末梢神経麻痺と装具・変形
神経変形代表的装具
正中神経猿手(対立不能)対立装具(オポーネンス)
尺骨神経鷲手(MP過伸展・PIP屈曲)MP屈曲保持装具(ナックルベンダー)
橈骨神経下垂手コックアップ装具
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