学習トップ理由で解く 作業療法士第10章 ▸ 実地 / QO57A002

理由で解く 作業療法士

QO57A002 基礎作業療法学

出典:第57回作業療法士国家試験(2022)午前 問2
問題
背臥位のまま右手でスマートフォンを持ち電子書籍を閲覧していた。図のように、この時の肩関節は屈曲40度、肘関節は屈曲90度であった。文字が見づらいためゆっくり肘を曲げて画面を顔に近づける際に活動する筋と収縮様式の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 上腕二頭筋 ― 遠心性収縮
2 上腕二頭筋 ― 等張性収縮
3 上腕三頭筋 ― 遠心性収縮
4 上腕三頭筋 ― 求心性収縮
5 上腕三頭筋 ― 等張性収縮
解答
正解3(上腕三頭筋 ― 遠心性収縮)
解説

背臥位で前腕が垂直近くに立った肢位から画面を顔へ近づける肘屈曲は重力が屈曲を助ける方向に働くため、拮抗筋である上腕三頭筋が遠心性収縮でブレーキをかけながら運動を制御する。

背臥位で肩屈曲40度・肘屈曲90度の肢位では、前腕は概ね上方(天井方向)に向いて立っている。ここから肘をさらに曲げて画面を顔(頭側)へ近づけると、前腕は重心が支点の頭側に移り、重力によって肘屈曲方向へ引かれる。すなわち運動そのもの(肘屈曲)は重力が助勢しており、屈筋(上腕二頭筋)が主動的に力を出す必要はない。むしろ画面が顔に勢いよくぶつからないよう『ゆっくり』動かすには、伸筋である上腕三頭筋が伸張されながら張力を発揮し(遠心性収縮)、落下速度を制御するブレーキとして働く。したがって活動筋は上腕三頭筋、収縮様式は遠心性収縮の組合せ(選択肢3)が正しい。重力に逆らって物を持ち上げる局面では主動筋の求心性収縮になるが、本問は重力方向へゆっくり動かす局面である点が判断の要点である。

✗ 1. 誤り
上腕二頭筋 ― 遠心性収縮
二頭筋は肘屈筋。本運動では屈曲が重力助勢のため二頭筋は主役でない
✗ 2. 誤り
上腕二頭筋 ― 等張性収縮
屈筋の求心性活動を要さない局面であり合致しない
✓ 3. 正しい
上腕三頭筋 ― 遠心性収縮
重力による肘屈曲を制御するブレーキとして伸筋が伸張性に働く
✗ 4. 誤り
上腕三頭筋 ― 求心性収縮
求心性は肘伸展(短縮)局面。本運動は屈曲でありブレーキ作用なので遠心性
✗ 5. 誤り
上腕三頭筋 ― 等張性収縮
張力を一定に保つ持ち上げ運動ではなく制動局面のため遠心性が適切
ポイント
  • 重力が運動を助ける方向のときは拮抗筋が遠心性収縮で制動する
  • 『ゆっくり』動かす=ブレーキ=遠心性収縮
  • 背臥位で前腕が立った肢位の肘屈曲は三頭筋の遠心性収縮
比較表
収縮様式と重力の関係
局面働く筋と収縮様式
重力に抗して持ち上げる主動筋の求心性収縮
重力方向へゆっくり下ろす主動筋(拮抗側)の遠心性収縮
肢位を静止保持等尺性収縮
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