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理由で解く 作業療法士

QO55A009 作業療法治療学

出典:第55回作業療法士国家試験(2020)午前 問9
問題
54歳の女性。左母指ばね指の術後、経過は良好であったが、術後3か月ころから些細な動作で母指にビリビリするような疼痛が出現した。術後5か月目に自宅近くの病院を受診し、CRPS(複合性局所疼痛症候群)と診断され、投薬治療と外来作業療法が開始となった。開始時の左母指痛はNRS(numerical rating scale)で安静時1、動作時6。左上肢機能は総握りでは指尖手掌間距離が2〜3cm、肩・肘関節のROMに軽度制限を認め、手指のMMTは段階3、握力2kgで、日常生活では左手をほとんど使用していない状態であった。実施する作業療法で誤っているのはどれか。
選択肢
1 疼痛を誘発しない動作方法を検討する。
2 疼痛の完全除去を目標とする。
3 物品に触れる機会を増やす。
4 自動運動から開始する。
5 生活状況を聴取する。
解答
正解2(疼痛の完全除去を目標とする。)
解説

CRPSでは疼痛の完全除去を目標にするのは非現実的で不適切。疼痛管理下で廃用を防ぎ機能・使用頻度の改善を目指す。

CRPSは慢性の難治性疼痛であり、疼痛を完全に消失させることを治療目標に据えると達成困難で患者の失望や過活動を招き、かえって悪循環となる。目標は疼痛のコントロール下での機能維持・向上と患肢の使用頻度改善に置く。したがって「疼痛の完全除去を目標とする」は誤り。他の選択肢は適切で、疼痛を誘発しない動作の工夫(活動の再設計)、脱感作を意図した物品に触れる機会の増加、疼痛悪化を避けるための自動運動からの開始、廃用や使用状況を把握する生活状況の聴取はいずれもCRPSの標準的なアプローチである。

✗ 1. 正しい
疼痛を誘発しない動作方法を検討する。
活動を再設計し使用を促す適切な対応(正しい対応)
✓ 2. 誤り
疼痛の完全除去を目標とする。
慢性難治性で非現実的。目標設定として不適切(誤=これが答え)
✗ 3. 正しい
物品に触れる機会を増やす。
脱感作・使用促進として適切(正しい対応)
✗ 4. 正しい
自動運動から開始する。
他動での疼痛悪化を避け段階的に進める適切な方法(正しい対応)
✗ 5. 正しい
生活状況を聴取する。
廃用・使用状況の把握に必要な適切な評価(正しい対応)
ポイント
  • CRPSの目標は疼痛完全除去でなくコントロールと機能改善
  • 脱感作・自動運動から段階的に使用を促す
  • 廃用(不使用)の防止が重要
比較表
CRPS作業療法の原則
方針内容
目標設定疼痛管理下での機能・使用頻度の向上
運動自動運動から開始し過負荷を避ける
感覚脱感作で過敏を軽減し使用を促す
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