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理由で解く 作業療法士

QO54A020 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午前 問20
問題
30歳の男性。統合失調症で5年前に幻覚妄想状態で家族に対する興奮があり、医療保護入院となった既往がある。退院後はほぼ規則的に通院し、毎食後服薬していたが、3か月前から治療を中断し、幻聴や被害関係妄想が悪化し、両親を自宅から閉め出して引きこもってしまった。注察妄想もあり本人も自宅から外出できない状況である。多職種訪問支援チームが1年前から関わっており、訪問は受け入れてもらえている。この患者への今後の介入で最も適切なのはどれか。
選択肢
1 本人の意思に関わらず、繰り返し服薬を強く促す。
2 両親を自宅に同行させ、その場で本人に両親への謝罪を促す。
3 民間救急を利用し、中断していた精神科病院の救急外来に搬送する。
4 本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。
5 訪問頻度を減らし、本人が助けを求めるのを待って精神科外来に結びつける。
解答
正解4(本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。)
解説

訪問を受け入れてくれている貴重な関係を土台に、まず本人のニーズ・困り事を引き出して信頼関係を深めるのがアウトリーチ支援の原則。強制的介入は関係を壊し引きこもりを悪化させる。

本症例は治療中断で症状が悪化し、被害関係妄想・注察妄想のため外出も困難な状況だが、多職種訪問支援チームの訪問は受け入れているという極めて重要な接点が保たれている。ACT等のアウトリーチ(訪問支援)の原則は、本人の主体性を尊重し、本人が困っていること・望んでいることを起点に信頼関係を構築することにある。したがって、根気よく本人の希望や生活上の困り事を引き出し関係を深める対応が最も適切である。服薬の強要、両親を伴う謝罪の強制、救急搬送などの強制的・侵襲的介入は、せっかく保たれている訪問受け入れの関係を壊し、被害妄想を刺激して引きこもりを悪化させる。訪問頻度を減らして待つ対応も、症状悪化中の患者を放置することになり不適切である。

✗ 1. 誤り
本人の意思に関わらず、繰り返し服薬を強く促す。
本人の主体性を無視した強要は信頼関係を壊す
✗ 2. 誤り
両親を自宅に同行させ、その場で本人に両親への謝罪を促す。
閉め出しの葛藤がある中での対面強制は被害妄想を刺激し逆効果
✗ 3. 誤り
民間救急を利用し、中断していた精神科病院の救急外来に搬送する。
緊急の自傷他害がない現時点での強制搬送は関係を破壊し不適切
✓ 4. 正しい
本人の希望や生活上の困り事を根気よく引き出し、関係を深める努力をする。
受け入れられている訪問を活かす最適なアウトリーチ対応
✗ 5. 誤り
訪問頻度を減らし、本人が助けを求めるのを待って精神科外来に結びつける。
症状悪化中の放置で関係も途切れるリスクが高い
ポイント
  • アウトリーチ(訪問支援)の原則=本人の主体性尊重とニーズ起点の関係構築
  • 訪問を受け入れている接点は最も大切にすべき治療資源
  • 強制的介入は被害妄想を刺激し関係を破壊する
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