学習トップ理由で解く 作業療法士第12章 ▸ 実地 / QO54P003

理由で解く 作業療法士

QO54P003 作業療法治療学

出典:第54回作業療法士国家試験(2019)午後 問3
問題
82歳の女性。右利き。手関節脱臼骨折後、手関節掌屈0°、前腕回外10°の可動域制限がある。それ以外の上肢の関節可動域や筋力は保たれている。歯がなく、義歯を装着していないためにきざみ食を箸で食べているが、肩関節外転の代償運動が出現している。「こぼれやすく、口に届きにくい。右手で楽に食べたい」との訴えがある。食事用自助具(1〜5)を図に示す。適切なのはどれか。
図
選択肢
1
2
3
4
5
解答
正解4(4)
解説

前腕回外10°・手関節掌屈0°で匙面を口に向けられない症例。柄に対して匙部を曲げた角度付きスプーンで回外の不足を代償する。

本症例の中核は前腕回外10°・手関節掌屈0°の可動域制限で、食物をすくった後に前腕を回外して匙面を口へ向けることができない。そのため匙が傾いて食物がこぼれ、口元へ運ぶために肩関節外転の代償運動が出現している。上肢の他の関節可動域と筋力は保たれているので、把持を助けるばね付き箸①や太柄スプーン③では問題の本質は解決しない。歯がなくきざみ食をすくって食べる必要があるため、刺して食べるフォーク②も適さない。④は木製の柄に対して匙部が角度をつけて(曲げて)接続されたスプーンで、前腕を回外できなくても匙面が上(口)を向くように補正でき、こぼさずに口へ運べる。匙面の向きが補正されることで、口に届かせるための肩関節外転の代償運動も軽減できる。したがって適切なのは④である。

✗ 1. 誤り
ばね付き(ピンセット型)箸。把持力低下向けで、前腕回外の制限は補えない。
✗ 2. 誤り
柄がS字状に湾曲したフォーク。きざみ食はすくいにくく回外の代償にもならない。
✗ 3. 誤り
太柄グリップのスプーン。握りは楽になるが匙面の向きは変わらず不適。
✓ 4. 正しい
匙部を柄に対して曲げた角度付きスプーン。回外できなくても匙面が口を向く。
✗ 5. 誤り
2本の匙をばねで連結した自助具。つまむ動作用で回外制限の代償にならない。
ポイント
  • 問題の本質は前腕回外制限(10°)による『すくい面を口へ向けられない』こと
  • 肩関節外転は回外不足を補う代償運動
  • 器具の角度(屈曲・角度可変)で回外を代償する自助具を選ぶ
  • 把持補助や太柄化だけでは回外制限は代償できない
比較表
ROM制限を代償する食事用自助具の考え方
制限された動作代償する自助具の特徴
前腕回外角度可変・屈曲柄のスプーン/フォーク
把持力低下太柄・万能カフ・ホルダー
リーチ低下柄の延長・ロングハンドル
巧緻性低下ばね付き箸・ピンセット型箸
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 作業療法士
App Store入手