学習トップ理由で解く 作業療法士第11章 ▸ 実地 / QO52P006

理由で解く 作業療法士

QO52P006 作業療法評価学

出典:第52回作業療法士国家試験(2017)午後 問6
問題
58歳の男性。両手の母指と示指で紙をつまみ、左右に引っ張ったときの写真を図に示す。考えられる末梢神経障害はどれか。
図
選択肢
1 右Guyon管症候群
2 右手根管症候群
3 右後骨間神経麻痺
4 左前骨間神経麻痺
5 左肘部管症候群
解答
正解5(左肘部管症候群)
解説

紙つまみ時に母指IP関節が屈曲する(Froment徴候陽性)のは、母指内転筋を支配する尺骨神経の麻痺を示す所見であり、本例では患側(左)の母指IP屈曲から左肘部管症候群が導かれる。

本問は紙を母指と示指でつまんで引く「Froment徴候(紙つまみ試験)」の写真である。正常では母指内転筋(尺骨神経支配)が働き、母指IP関節を伸展位に保ったまま母指の腹で紙を押さえられる(写真の画像左側=患者の右手がこの状態)。尺骨神経麻痺では母指内転筋が弱く、代償として長母指屈筋(正中神経支配)が働くため母指IP関節が屈曲し、指尖で紙を押さえる。写真では画像右側の手(対面する被検者の左手)の母指IP関節が明瞭に屈曲しており、Froment徴候陽性=左側の尺骨神経麻痺を示す。選択肢のうち左側の尺骨神経障害は肘部管症候群(選択肢5)のみである(右Guyon管・右手根管・右後骨間神経は側または神経が不一致)。特に紛らわしい選択肢4の左前骨間神経麻痺は、母指IPを『屈曲できず』伸展位でつまむのが特徴で、母指IPが屈曲している本写真とは逆であり否定される。したがって左肘部管症候群(尺骨神経の肘部での障害)が最も考えられる。

✗ 1. 誤り
右Guyon管症候群
手関節部(Guyon管)での尺骨神経障害。母指内転筋麻痺でFroment陽性を来しうるが、本写真で母指IPが屈曲(Froment陽性)を示すのは患者の左手であり右手ではない。障害側が反対のため
✗ 2. 誤り
右手根管症候群
手根管での正中神経絞扼で、母指球筋(短母指外転筋・母指対立筋)や橈側の感覚障害を来す。母指内転筋は尺骨神経支配でありFroment徴候は陰性。神経も側も一致しない
✗ 3. 誤り
右後骨間神経麻痺
後骨間神経(橈骨神経深枝)麻痺は手指・母指の伸展障害(下垂指)が主体で感覚障害を伴わず、つまみの母指内転やFroment徴候には関与しない
✗ 4. 誤り
左前骨間神経麻痺
前骨間神経(正中神経)麻痺では長母指屈筋・示指深指屈筋が麻痺し、母指IPと示指DIPを屈曲『できず』伸展位のままつまむ(OKサイン不能・つまみが三角形)。本写真の患側母指IPはむしろ屈曲しており、前骨間神経麻痺とは正反対の所見
✓ 5. 正しい
左肘部管症候群
肘部での尺骨神経障害。母指内転筋・第1背側骨間筋が麻痺し、紙つまみ時に母指内転が効かず長母指屈筋(正中神経支配)で代償するため母指IP関節が屈曲する=Froment徴候陽性。画像右側の手(=患者の左手)に母指IP屈曲がみられ、左尺骨神経麻痺と一致する
ポイント
  • Froment徴候=尺骨神経麻痺(母指内転筋麻痺)
  • 長母指屈筋の代償で母指IPが屈曲
  • 肘部管症候群は肘での尺骨神経絞扼
比較表
手の末梢神経麻痺と徴候
神経・部位特徴的徴候
尺骨神経(肘部管/Guyon管)Froment徴候・鷲手
正中神経(手根管)母指球萎縮・猿手
前骨間神経tear drop徴候(perfect Oできず)
後骨間神経下垂指(手指伸展障害)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 作業療法士
App Store入手