学習トップ / 理由で解く 臨床医学総論 / 臨床医学総論 第6章 ▸ A. 感覚検査 / Q28H045
理由で解く 臨床医学総論
「片側の顔面」と「その反対側の半身」という食い違った温痛覚障害(交代性感覚障害)は、顔面の温痛覚を運ぶ三叉神経の経路と、体幹・四肢の温痛覚を運ぶ外側脊髄視床路とが、同じ高さの一側で同時に傷つくときに現れる。その両者が隣り合って走るのが延髄の外側であり、答えは 4 の延髄である。
体幹・四肢の温痛覚は、皮膚から脊髄後角に入ってそこでニューロンを乗り換え、すぐに反対側へ渡って外側脊髄視床路を上行する。つまり脳幹の高さでは、右を上行している温痛覚は「左半身」の情報である。一方、顔面の温痛覚は脊髄視床路ではなく三叉神経が運び、その中継核である三叉神経脊髄路核は延髄の外側に縦へ長く伸びていて、ここは交叉する前の情報なので「同じ側の顔面」を表している。そのため延髄外側の一点が障害されると、同側の顔面と対側の半身という左右の食い違った温痛覚障害が同時に生じる(延髄外側症候群=ワレンベルグ症候群)。これに対して視床や大脳(感覚野・内包)の高さでは、顔面の経路も半身の経路もすでに交叉を終えて一本にまとまっているので、感覚障害は顔面も半身も病巣と反対側にそろう。「顔と体でしびれる側が違う」と聞いたら脳幹、なかでも延髄外側を思い浮かべる、という結び付け方で覚えるとよい。
| 障害部位 | 温痛覚障害の出方 | 合わせて出やすい症状 |
|---|---|---|
| 大脳(感覚野・内包=大脳の深部で運動・感覚の線維が束になって通る場所) | 顔面も半身も病巣と反対側にそろう | 対側の片麻痺(痙性麻痺)、優位半球の病変では失語(右片麻痺に伴いやすい) |
| 小脳 | 温痛覚の伝導路ではなく、感覚障害は主症状にならない | 運動失調(振戦・平衡障害) |
| 橋(下外側) | 起こりうるが典型ではない(前下小脳動脈の梗塞など) | 同側の顔面神経麻痺・外転神経麻痺+対側の片麻痺(運動症状が前面) |
| 延髄(外側) | 同側の顔面+対側の半身(交代性感覚障害) | 同側のホルネル症候群、同側の小脳失調、嗄声・嚥下障害、めまい・眼振 |
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