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理由で解く 臨床医学総論

Q28H046 全身の診察

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題46
問題
改訂長谷川式簡易知能評価スケールの質問で、アルツハイマー病では病初期から答えられないのはどれか。
選択肢
1 お歳はいくつですか。
2 100 から7 を順番に引いてください。
3 これから言う3 つの言葉を言ってみてください。
4 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度、言ってみてください。
解答
正解4(先ほど覚えてもらった言葉をもう一度、言ってみてください。)
解説

改訂長谷川式簡易知能評価スケールのうち、先に覚えた3つの言葉をあとから思い出す「遅延再生」の課題は、近時記憶を直接みる課題であり、アルツハイマー病では病初期から答えられなくなる。

アルツハイマー型認知症は認知症の原因疾患のなかで最も多く、中核症状(記憶障害・見当識障害・実行機能障害・失語・失行・失認・判断力低下)のうち、まず新しいことを覚えて少し後に取り出す近時記憶が障害される。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、検者が口頭で質問して短時間で行える質問式の認知症スクリーニング検査で、年齢・見当識・3つの言葉の即時再生・計算・数字の逆唱・遅延再生・物品記銘・語想起などの項目からなる。年齢のように自分について長く保持している情報や、言われた言葉をその場で繰り返す即時再生は、病初期には保たれやすい。つまり「言った直後は言えるのに、少し経つと思い出せない」というずれが早期発見の手がかりになる。なおこのスケールは診断そのものではなくスクリーニングであり、疑わしければ医療機関の受診につなげる。

✗ 1. 病初期には答えられる
お歳はいくつですか。
年齢は自分自身について長く保持している情報で、HDS-Rでは2年までの誤差は正解として扱う。病初期には答えられることが多く、「病初期から答えられない」ものにはあたらない(進行すると、実際より若く答えるなどの誤りが出てくる)。
✗ 2. 病初期には答えられる
100 から7 を順番に引いてください。
100から7を順番に引く計算課題がみているのは、注意の持続と作業記憶である。病初期には保たれることが多く、進行につれて低下していく。ここが崩れるかどうかだけで初期のアルツハイマー病を拾うことはできない。
✗ 3. 病初期には答えられる
これから言う3 つの言葉を言ってみてください。
3つの言葉をその場で復唱する課題は即時再生であり、注意が保たれていれば病初期でも答えられる。この課題はむしろ、あとの遅延再生を成立させるための「覚えてもらう」段階として置かれている。
✓ 4. 病初期から答えられない
先ほど覚えてもらった言葉をもう一度、言ってみてください。
これが遅延再生の課題で、いったん覚えた内容を保持して後から取り出す近時記憶を直接みる。アルツハイマー病では近時記憶の障害が最初に現れるため、この質問は病初期から答えられない。即時再生(選択肢3)はできるのに遅延再生ができない、という対比が診かたの要点である。
ポイント
  • 改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、検者が口頭で尋ねて短時間で行える質問式の認知症スクリーニング検査(30点満点、20点以下で認知症を疑う)。MMSEと並ぶ代表的なスケールである。
  • アルツハイマー型認知症は認知症の原因疾患で最も多く、中核症状の中では記憶障害が先行する。
  • 病初期から落ちるのは近時記憶=遅延再生。年齢(自分について長く保持している情報)や即時再生(復唱)は保たれやすい。
  • 「直後は言えるのに、少し経つと思い出せない」というずれが早期発見の手がかりになる。
  • スケールはスクリーニングであって診断ではないため、疑いがあれば医療機関の受診を勧める。
  • 重要用語: 改訂長谷川式簡易知能評価スケール, 遅延再生, 即時再生, 近時記憶, 中核症状 を正確に理解しておくこと。
比較表
質問(課題)一般にみているとされる機能アルツハイマー病 病初期の答えやすさ(一般的な傾向)
年齢を尋ねる自分についての長期記憶(2年の誤差は正解)答えられることが多い
3つの言葉を復唱する即時再生・注意答えられることが多い
100から7を順に引く注意の持続・作業記憶答えられることが多い
先に覚えた言葉を思い出す近時記憶(遅延再生)病初期から答えられない
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