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理由で解く 臨床医学総論

Q28H047 おもな症状の診察法

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題47
問題
排尿障害の検査で初めに行うのはどれか。
選択肢
1 神経伝導検査
2 膀胱内視鏡検査
3 腹部超音波検査
4 腹部エックス線検査
解答
正解3(腹部超音波検査)
解説

排尿障害の検査は、体への負担が少なく繰り返せるものから順に進めるのが原則である。腹部超音波検査は非侵襲的で被曝がなく、残尿量や腎・膀胱の形態、前立腺の腫大までまとめて確認できるため、初めに行う検査として適切であり、3が正しい。

排尿障害は、ためられない蓄尿症状(頻尿・尿意切迫・尿失禁)と、出せない排出症状(排尿困難・尿勢低下〈尿線細小〉・排尿開始の遅れ)に大別され、排尿後の残尿感・排尿後尿滴下は排尿後症状として分けることもある。診察はまず医療面接(排尿回数・夜間排尿・尿の勢い・残尿感)と尿検査、身体診察でしぼり込み、そのうえで画像検査に進むという順序をとる。この最初の画像検査として選ばれるのが腹部超音波検査で、膀胱内に残った尿の量(残尿)、下部尿路の閉塞に伴って生じる腎盂・腎杯の拡張(水腎症)の有無、前立腺の大きさ、結石や腫瘤の有無を、痛みも被曝もなく短時間で評価できる。ここで得た情報をもとに、必要な人だけを膀胱内視鏡検査や尿流動態検査など負担の大きい検査へ進めるのが、検査を組み立てるときの基本的な考え方である。施術者の立場では、下腹部が張って強い尿意があるのに排尿できない尿閉、発熱を伴う排尿痛、血尿、進行する排尿困難に気づいたら、施術を続けずに泌尿器科の受診をすすめることが求められる。

✗ 1. 誤り
神経伝導検査
末梢神経(運動神経・感覚神経)に電気刺激を与えて伝導の速さや反応の大きさをみる検査であり、膀胱そのものの働きは評価できない。神経因性膀胱(神経の障害によって起こる排尿障害)が疑われるときに膀胱の働きを調べるのは、尿流量測定や膀胱内圧測定といった尿流動態検査である。いずれにせよ排尿障害で初めに行う検査にはあたらない。
✗ 2. 誤り
膀胱内視鏡検査
尿道から内視鏡を入れて膀胱内を直接観察する検査で、痛みを伴い、感染の危険もある侵襲的な検査である。血尿や腫瘍が疑われるなど適応をしぼってから行うもので、初めに行う検査には適さない。
✓ 3. 正しい
腹部超音波検査
非侵襲的で被曝がなく、その場で繰り返し行える。残尿量、腎盂・腎杯の拡張(水腎症)、膀胱壁の状態、前立腺の腫大などを一度に把握でき、排尿障害の原因を大きくふるい分けられるため、初めに行う検査として適切である。
✗ 4. 誤り
腹部エックス線検査
被曝を伴ううえ、得られる情報は主に骨や石灰化した結石の陰影に限られる。残尿量や前立腺の大きさ、水腎症といった排尿障害の評価に必要な情報は分からないため、最初に選ぶ検査ではない。
ポイント
  • 検査は侵襲の少ないものから進めるのが原則。排尿障害では医療面接・尿検査・身体診察のあと、画像は腹部超音波検査から始める。「初めに行うのはどれか」と問われたら、体への負担が最も少ないものを選ぶ。
  • 腹部超音波検査で分かること:残尿量、腎盂・腎杯の拡張(水腎症)、膀胱壁の状態、前立腺の腫大、結石や腫瘤。非侵襲的・被曝なしで繰り返せる。
  • 膀胱内視鏡検査は侵襲的で、血尿や腫瘍が疑われるなど適応をしぼってから行う。神経伝導検査は末梢神経の伝導をみる検査で、膀胱の働きは評価できない(膀胱の働きをみるのは尿流動態検査)。
  • 排尿障害(下部尿路症状)は蓄尿症状(頻尿・尿意切迫・尿失禁)、排尿症状(排尿困難・尿勢低下)、排尿後症状(残尿感・排尿後尿滴下)の3つに分けて整理する。
  • 尿閉(下腹部が膨隆し強い尿意があるのに出ない)、発熱を伴う排尿痛、血尿、進行する排尿困難は受診をすすめる目安。
  • 重要用語: 排尿障害, 残尿, 腹部超音波検査, 膀胱内視鏡検査, 水腎症 を正確に理解しておくこと。
比較表
検査体への負担主に分かること位置づけ
腹部超音波検査非侵襲的・被曝なし残尿量、腎盂・腎杯の拡張(水腎症)、膀胱壁、前立腺の腫大、結石・腫瘤初めに行う(ふるい分け)
腹部エックス線検査被曝あり骨、石灰化した結石の陰影限られた目的で追加する
膀胱内視鏡検査侵襲的(痛み・感染の危険)膀胱・尿道内の直接観察(腫瘍・炎症など)適応をしぼって後から行う
神経伝導検査やや負担あり(電気刺激)末梢神経の伝導障害(膀胱の働きは評価できない)末梢神経障害を調べる検査。排尿障害の初期評価には用いない
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