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理由で解く 臨床医学総論

Q28H048 全身の診察

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題48
問題
右股関節に屈曲拘縮がある患者の歩行時の特徴で正しいのはどれか。
選択肢
1 左の歩幅の減少
2 右立脚相後期の腰椎前弯減少
3 はさみ脚歩行
4 左トレンデレンブルグ徴候
解答
正解1(左の歩幅の減少)
解説

右股関節に屈曲拘縮があると右股関節を伸展できないため、右の立脚相後期に体を前へ送れず、左足を前方へ十分に振り出せない。その結果、左の歩幅が減少する。

1歩とは一側の踵接地から対側の踵接地までをいい、歩幅はその進行方向の距離である。左の踵接地は右下肢が立脚相の後期(踵離れ〜つま先離れ)にあるときに起こるので、右股関節がどれだけ伸展できるかが、そのまま左足の着地位置=左の歩幅を決める。屈曲拘縮では伸展できないぶんだけ左足の着地が手前になり、左の歩幅が減る。さらに、股関節屈曲拘縮では(腸腰筋などの股関節屈筋や関節包の短縮により)股関節を伸展できないため、立位・歩行では骨盤を前傾させて代償し、腰椎骨盤リズムにより腰椎前弯が増強する(減少ではない)。この代償が続くと腰痛の原因になる。股関節屈曲拘縮の有無はトーマステストで確かめる。

✓ 1. 正しい
左の歩幅の減少
右股関節が伸展できないため、右の立脚相後期に体幹を前方へ送れず、左下肢の振り出しが手前で終わる。1歩は一側の踵接地から対側の踵接地までであり、左の踵接地が手前になるぶん左の歩幅が減少する。拘縮のある側と歩幅が減る側が逆になる点が引っかかりやすい。
✗ 2. 誤り
右立脚相後期の腰椎前弯減少
股関節屈曲拘縮では(腸腰筋などの股関節屈筋や関節包の短縮により)股関節を伸展できないため、立位・歩行では骨盤を前傾させて代償し、腰椎骨盤リズムによって腰椎前弯は増強する。伸展できないぶんを腰椎の前弯で代償するため、立脚相後期にはとくに前弯が強くなる。前弯の「減少」とするのは逆である。
✗ 3. 誤り
はさみ脚歩行
はさみ脚歩行は両下肢の内転筋群の痙縮によって、振り出した脚が交差するように出る歩行で、代表例は痙直型両麻痺(脳性麻痺)である。一側の股関節屈曲拘縮では起こらない。原因が筋の痙縮か関節の拘縮かを分けて考えたい。
✗ 4. 誤り
左トレンデレンブルグ徴候
トレンデレンブルグ徴候は中殿筋(股関節外転筋)の筋力低下により、患側で片脚起立したときに対側の骨盤が下がる所見である。ここで問われているのは右股関節の屈曲拘縮であって外転筋の筋力低下ではなく、また左側に現れる理由もない。
ポイント
  • 1歩=一側の踵接地から対側の踵接地まで。歩幅はその進行方向の距離(1歩行周期=2歩)。
  • 股関節屈曲拘縮=伸展の制限。立脚相後期に体を前へ送れず、対側の歩幅が減少する。
  • 代償として骨盤前傾が強まり、腰椎骨盤リズムにより腰椎前弯は増強する(腰痛の原因)。
  • 股関節屈曲拘縮の検査はトーマステスト。
  • トレンデレンブルグ徴候=中殿筋の筋力低下、はさみ脚歩行=両下肢内転筋群の痙縮(代表例は痙直型両麻痺)と原因が違う。
  • 重要用語: 股関節屈曲拘縮, トーマステスト, 腰椎骨盤リズム, トレンデレンブルグ徴候, はさみ脚歩行 を正確に理解しておくこと。
比較表
所見原因・成り立ち
対側(左)の歩幅減少右股関節の伸展制限により立脚相後期に体を前へ送れない
腰椎前弯の増強股関節屈筋(腸腰筋など)・関節包の短縮による伸展制限→骨盤前傾→腰椎骨盤リズムによる代償
トレンデレンブルグ徴候中殿筋(股関節外転筋)の筋力低下
はさみ脚歩行両下肢の内転筋群の痙縮(代表例は痙直型両麻痺=脳性麻痺)
大殿筋歩行大殿筋の筋力低下(立脚初期に体幹を後方へ反らせて、股関節を伸展位に保つ)
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