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理由で解く 臨床医学各論

Q34A077 整形外科疾患

出典:あマ指 第34回(2026) 問題77
問題
次の症例について、問題77、78の問いに答えよ。「6歳の男児。鉄棒から転落し地面に左手をついて受傷。左肘関節部の疼痛と変形を認め動かすことができず、同部の腫脹も著明であった。」 最も考えられる骨折はどれか。
選択肢
1 上腕骨顆上骨折
2 上腕骨内上顆骨折
3 橈骨頭骨折
4 肘頭骨折
解答
正解1(上腕骨顆上骨折)
解説

小児が手をついて転倒・転落し、肘関節部に疼痛・変形・著明な腫脹をきたしたときにまず考える骨折を問う設問で、答えは上腕骨顆上骨折である。

上腕骨の遠位端は、内側上顆と外側上顆のすぐ上(顆上部)で前後に薄く扁平になっており、骨としては構造上いちばん弱い。小児は靱帯がゆるく肘が過伸展しやすいため、肘を伸ばして手をついて転ぶと、この前後に薄い顆上部に後方へ折れ曲がる力が集中して折れる(伸展型が大多数)。転位すると遠位骨片が後方へずれるため、肘の変形・強い腫脹・自動運動不能という本症例そのままの所見になる。前方には上腕動脈と正中神経が走るので、腫脹と骨片の圧迫による血行障害が起こりうる点でも急ぐべき骨折である。

✓ 1. 正しい
上腕骨顆上骨折
小児が肘を伸ばして手をついたときに、上腕骨遠位の顆上部(内側上顆・外側上顆のすぐ上の扁平で弱い部分)に力が集中して折れる骨折で、学童期の肘周囲骨折として最も多い。肘の変形・著明な腫脹・自動運動不能という本症例の所見とよく一致する。
✗ 2. 誤り
上腕骨内上顆骨折
内側上顆は前腕屈筋群と内側側副靱帯の付着部で、手をついて肘が外反強制されたときにこれらに引かれて裂離する骨折である。小児の肘周囲骨折では顆上骨折・外顆骨折に次いで多く、肘関節脱臼を伴うことも少なくない。脱臼を伴わない場合、圧痛・腫脹は内側上顆に限局し、本症例のような肘全体の変形を説明しにくい。頻度と年齢からも、まず顆上骨折を考える。
✗ 3. 誤り
橈骨頭骨折
橈骨頭は上腕骨小頭と腕橈関節をつくる部分で、手をついたときに小頭との間で押しつぶされて折れる骨折である。骨が硬くなった成人に多く、肘外側の圧痛と前腕回内・回外の痛みが主体で、肘全体の著明な変形は伴いにくい。小児では同じ機序でも橈骨頸部に生じることが多い。
✗ 4. 誤り
肘頭骨折
肘頭は尺骨近位端の後方の突起で上腕三頭筋が付着する。肘を直接ぶつけて折れることが多く、手をついたときに上腕三頭筋に強く引かれて折れることもある。ただし成人に多い骨折で、所見も肘後方の圧痛と自動伸展の困難が中心となるため、6歳児の肘の変形・著明な腫脹という本症例の第一候補にはならない。
ポイント
  • 小児が手をついて転倒・転落し、肘に疼痛・変形・著明な腫脹をきたしたら、まず上腕骨顆上骨折を考える。
  • 上腕骨遠位の顆上部は前後に薄く扁平で構造的に弱く、肘伸展位で手をつくと後方へ折れる(伸展型が大多数)。
  • 肘周囲の骨折は年齢と圧痛の局在で見分ける。肘全体の変形・自動運動不能なら顆上骨折、圧痛が内側上顆に限局すれば内側上顆の裂離骨折、肘外側の圧痛と回内・回外時痛なら橈骨頭(小児では橈骨頸部)骨折、肘後方の圧痛と自動伸展困難なら肘頭骨折。
  • 橈骨頭骨折・肘頭骨折は成人に多く、小児の肘外傷の第一候補にはなりにくい。
  • 顆上部の前方を上腕動脈と正中神経が走るという位置関係を押さえておく(合併症を考えるうえでの土台になる)。
  • 重要用語: 上腕骨顆上骨折, 上腕骨内側上顆, 橈骨頭, 肘頭 を正確に理解しておくこと。
比較表
骨折好発年齢典型的な受傷機序主な所見
上腕骨顆上骨折学童期の小児肘伸展位で手をついて転倒・転落肘の変形・著明な腫脹・自動運動不能
上腕骨内側上顆骨折(裂離)小児〜青年肘の外反強制、前腕屈筋群の牽引、肘関節脱臼に合併肘内側の圧痛・腫脹
橈骨頭骨折成人手をついて橈骨頭が上腕骨小頭に圧迫される肘外側の圧痛、前腕回内・回外時痛
肘頭骨折成人肘を直接打つ、上腕三頭筋による牽引肘後方の圧痛、肘の自動伸展困難
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