学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q27H075
理由で解く 臨床医学各論
高血糖が長く続いた状態で下肢の感覚鈍麻が出ている症例で、糖尿病性末梢神経障害の所見を選ぶ問題です。この神経障害は感覚・運動だけでなく自律神経も侵すため、発汗異常が起こります。
糖尿病性末梢神経障害は、代謝障害と細小血管障害によって末梢神経が広い範囲で侵される多発性神経障害です。四肢の遠位ほど障害が強く、感覚障害は下肢の先から左右対称に広がる「手袋足袋型」の分布をとり、早期には両側内果(うちくるぶし)の振動覚低下が現れます。障害されるのは末梢神経(下位運動ニューロン側)なので麻痺は弛緩性で、深部腱反射は低下・消失します。さらに自律神経線維も侵されるため、皮膚の循環障害・発汗障害・起立性低血圧が加わります。本症例の口渇と体重減少は高血糖の症状です。空腹時血糖180mg/dl(126以上)とHbA1c8.9%(6.5%以上)はどちらも糖尿病型で、同じ採血で両方を満たすので糖尿病と診断できます。BMI30の肥満は2型糖尿病の背景として読み、すでに下肢の感覚鈍麻(神経障害)が出ていることから、高血糖が長い期間続いてきたと推定します。
| 項目 | 末梢神経の障害(弛緩性麻痺) | 錐体路の障害(痙性麻痺) |
|---|---|---|
| 筋緊張 | 低下、またはまったくみられない | 亢進 |
| 腱反射 | 低下・消失 | 亢進 |
| 感覚障害 | 四肢遠位優位。多発性神経障害では左右対称の手袋足袋型 | 錐体路は運動の下行路であり、その障害だけでは感覚障害は生じない(感覚は別の伝導路が担う) |
| 自律神経症状 | 皮膚の循環障害・発汗障害を伴う | 末梢の発汗障害は主徴ではない |
| 糖尿病での位置づけ | 代謝性の多発性神経障害として当てはまる | 当てはまらない |
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