学習トップ / 理由で解く 臨床医学各論 / 第13章 ▸ H. 精神科疾患 / Q15H083

理由で解く 臨床医学各論

Q15H083 その他の領域

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題83
問題
うつ病に最も関連の深い神経伝達物質はどれか。
選択肢
1 アセチルコリン
2 セロトニン
3 ヒスタミン
4 グルタミン酸
解答
正解2(セロトニン)
解説

うつ病の病態生理としては、脳内モノアミン系(セロトニン・ノルアドレナリンなど)の機能低下を想定するモノアミン仮説が広く知られている。したがって最も関連が深い神経伝達物質はセロトニンである。

セロトニンは気分・意欲・睡眠・食欲の調節に関わるモノアミン系の神経伝達物質で、その働きが低下することでうつ病の症候像が生じると説明される。うつ病の薬物療法でセロトニンの再取り込みを抑える薬(SSRIなど)が用いられるのも、この考え方に沿ったものである。病態生理としては視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA系)の過活動によるコルチゾール分泌亢進の関与も指摘されるが、伝達物質として名が挙がるのはモノアミン系である。選択肢に並ぶ他の3つは担当が異なり、アセチルコリンは神経筋接合部・自律神経と中枢の記憶/認知、ヒスタミンはアレルギー・炎症と中枢の覚醒維持、グルタミン酸は中枢の主要な興奮性伝達を受け持つ。「気分に関わる伝達物質はモノアミン(セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン)」と束ねて覚えると、他の伝達物質と取り違えにくくなる。

✗ 1. 誤り
アセチルコリン
神経筋接合部や自律神経の節前線維・副交感神経の節後線維で働く伝達物質である。中枢では記憶・認知に関わりが深く、うつ病の中心に置かれる伝達物質ではない。
✓ 2. 正しい
セロトニン
うつ病の病態生理では、セロトニン・ノルアドレナリンなど脳内モノアミン系の機能低下(モノアミン仮説)が関与するとされる。気分・意欲・睡眠・食欲の調節に関わる点も、うつ病の症候像とよく対応する。
✗ 3. 誤り
ヒスタミン
アレルギー反応や炎症では肥満細胞から、胃酸分泌では胃粘膜のECL細胞(腸クロム親和性細胞様細胞)から放出され、放出元が異なる点に注意する。中枢では覚醒の維持に関与するが、うつ病の病態の中心に置かれる伝達物質ではない。
✗ 4. 誤り
グルタミン酸
中枢神経系の代表的な興奮性の神経伝達物質で、広く神経の興奮伝達を担うアミノ酸である。うつ病に「最も関連が深い」ものとしては、モノアミン系のセロトニンが選ばれる。
ポイント
  • うつ病の病態生理=脳内モノアミン系(セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン)の機能低下を想定するモノアミン仮説。
  • セロトニンは気分・意欲・睡眠・食欲の調節に関わり、再取り込みを抑える薬(SSRIなど)が治療に用いられる。
  • HPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質系)の過活動によるコルチゾール分泌亢進も関与するとされる。
  • アセチルコリンは神経筋接合部・自律神経と中枢の記憶/認知、グルタミン酸は中枢の興奮性伝達、ヒスタミンはアレルギー・炎症と覚醒維持、と役割で切り分ける。
  • 重要用語: セロトニン, モノアミン仮説, HPA系 を正確に理解しておくこと。
比較表
神経伝達物質主な役割うつ病との関係
セロトニン気分・意欲・睡眠・食欲の調節(モノアミン系)機能低下がうつ病の病態に関与(モノアミン仮説)
アセチルコリン神経筋接合部・自律神経、中枢では記憶や認知うつ病の中心には置かれない
ヒスタミンアレルギー・炎症(肥満細胞)、胃酸分泌(ECL細胞)、中枢では覚醒維持うつ病の中心には置かれない
グルタミン酸中枢の代表的な興奮性伝達物質うつ病の中心には置かれない
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学各論
App Store入手