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理由で解く 臨床医学各論

Q15H082 その他の領域

出典:鍼灸 第15回(2007) 問題82
問題
流行性角結膜炎を起こすのはどれか。
選択肢
1 黄色ブドウ球菌
2 緑膿菌
3 アデノウイルス
4 帯状疱疹ウイルス
解答
正解3(アデノウイルス)
解説

流行性角結膜炎(はやり目)はアデノウイルスによる伝染性の強い眼感染症であり、正解は「3. アデノウイルス」である。

ウイルスと疾病の組合せは別の年度でも問われており、アデノウイルス―流行性角結膜炎、ヘルペスウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)―帯状疱疹が正しい組合せとして出題されている。「流行性」と名がつくとおり、涙や眼脂に含まれるウイルスが手指・タオル・洗面用具を介して次々に伝わり、家庭・学校・眼科の待合などで集団発生を起こす点が最大の特徴である。所見は強い充血・流涙、水様性(漿液性)の眼脂、結膜の濾胞(結膜面にできる小さな粒状の隆起)形成、異物感で、膿性の眼脂が主体となる一般的な細菌性結膜炎と対比され、耳の前のリンパ節が腫れて押すと痛む所見もウイルス性を疑う手がかりになる(ただし淋菌性やクラミジア性の結膜炎でもみられ、これだけで細菌性は除外できない)。角膜の点状の混濁は発症から1〜2週後に遅れて現れ、まぶしさや視力低下が長引くことがある。伝染力が強いことから、学校において予防すべき感染症では第三種に位置づけられ、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止となり、施術の場面でも手指衛生を徹底し、タオル・枕カバーを共用せず一人ごとに交換することが具体的な対応になる。

✗ 1. 誤り
黄色ブドウ球菌
球菌に分類される代表的な化膿菌で、食中毒(毒素型)やMRSAによる医療関連感染の原因として問われる。眼ではものもらい(麦粒腫)や化膿性の結膜炎の起炎菌となりうるが、その眼脂は膿性で、片眼または少数にとどまる。手指やタオルを介して次々に広がる角結膜炎の流行を起こす病原体としては挙げられない。
✗ 2. 誤り
緑膿菌
桿菌に分類され、抵抗力の落ちた宿主に感染する日和見感染の代表菌である。眼ではコンタクトレンズの不適切な使用や角膜の傷に伴う細菌性角膜感染の起炎菌として重要で、進行が速く重症化しやすい。医療の場では器具や水回りを介した伝播が問題になるが、健常者どうしが手指やタオルを介して角結膜炎の流行を起こす病原体ではない。
✓ 3. 正しい
アデノウイルス
アデノウイルスは型が多く、型によって起こす病気が異なる。8型・19型・37型などが流行性角結膜炎を、3型などが咽頭結膜熱(プール熱)を起こし、咽頭結膜熱は学校において予防すべき感染症の第二種で、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止となる。いずれも接触を介して広がるため、手洗いと器具・リネンの共用回避が対策の中心となる。
✗ 4. 誤り
帯状疱疹ウイルス
水痘・帯状疱疹ウイルス(DNAウイルス)は末梢神経に親和性をもち、神経節に潜伏したものが再活性化して、支配領域に沿った片側性の水疱と痛みを生じる。三叉神経第1枝の領域に生じれば眼にも病変が及ぶ(眼部帯状疱疹)が、これは潜伏していたウイルスの再活性化として起こる病態であり、帯状疱疹そのものがヒトからヒトへ次々に伝わって眼の流行を起こすものではない。ただし水疱の内容には感染性があり、未感作の人には水痘として感染しうる(水痘は学校感染症の第二種)ため、水疱は覆い、直接の接触を避ける。
ポイント
  • 流行性角結膜炎の原因はアデノウイルス。細菌ではなくウイルスであることをまず押さえる。
  • 接触感染で広がり、手指・タオル・器具の共用が感染経路。手指衛生とリネンの個別化が具体的な対策。
  • 眼脂は水様性(漿液性)で、結膜の濾胞形成と耳前リンパ節の腫脹・圧痛を伴う。膿性眼脂が主体の一般的な細菌性結膜炎と対比する(耳前リンパ節腫脹は淋菌性・クラミジア性でもみられる)。
  • 角膜の点状混濁は発症1〜2週後に遅れて現れ、視力低下が長引くことがある。
  • 学校において予防すべき感染症では本症は第三種(医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止)、同じアデノウイルスによる咽頭結膜熱は第二種(主要症状が消退した後2日を経過するまで)と、出席停止の扱いが分かれる。
  • 重要用語: 流行性角結膜炎, アデノウイルス, 咽頭結膜熱, 学校感染症第三種 を正確に理解しておくこと。
比較表
選択肢分類代表的な病態眼での関わり方
黄色ブドウ球菌細菌(球菌)化膿性感染、毒素型食中毒、MRSAによる医療関連感染麦粒腫(ものもらい)・化膿性結膜炎の起炎菌(膿性眼脂)
緑膿菌細菌(桿菌)日和見感染、器具・水回りを介した医療関連感染コンタクトレンズ関連の細菌性角膜感染
アデノウイルスウイルス流行性角結膜炎、咽頭結膜熱(プール熱)本症の原因。接触感染で集団発生を起こす
帯状疱疹ウイルスウイルス(DNA)帯状疱疹(神経節に潜伏し再活性化)、初感染では水痘三叉神経第1枝領域では眼部帯状疱疹(片側性)
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