学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1076

理由で解く 臨床医学各論

Q1076 神経疾患

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題79
問題
「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 クモ膜下出血
2 脳血栓
3 脳塞栓
4 一過性脳虚血発作
解答
正解3(脳塞栓)
解説
✗ 1. 誤り
クモ膜下出血
クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因の90%以上を占め、「ハンマーで後頭部を殴られたような」突然の激しい頭痛と嘔気・嘔吐が特徴である。本症例では頭痛・嘔吐がなく、片麻痺が主体であるため、クモ膜下出血は考えにくい。
✗ 2. 誤り
脳血栓
脳血栓は脳動脈のアテローム硬化部に血栓が形成されて閉塞するもので、症状は段階的に進行し、安静時(とくに睡眠中〜起床時)に発症することが多い。本症例のように活動中に突然発症する様式とは合致しにくい。
✓ 3. 正しい
脳塞栓
脳塞栓はもっとも急激な症状の発現を呈し、発症後数分で症状が完成する。本症例では発作性心房細動の既往があり、心房内で形成された血栓が剥離して脳血管を閉塞したと考えられる。心房細動は脳塞栓のもっとも重要な原因疾患であり、突然の片麻痺出現と頭痛・嘔吐の欠如は脳塞栓に合致する。急性期には出血性梗塞への移行に注意が必要である。
✗ 4. 誤り
一過性脳虚血発作
一過性脳虚血発作(TIA)は24時間未満で症状が消失する短時間の局所脳機能障害であり、一般的に持続時間は2〜15分程度である。本症例のように持続する麻痺がある場合はTIAとは診断できない。
ポイント
  • 心房細動の既往がある患者に突然の片麻痺が出現した場合、心原性脳塞栓を第一に疑う
  • 脳塞栓は発症後数分以内に症状が完成し、大梗塞が多い
  • 脳血栓との鑑別点:脳血栓は段階的進行・安静時発症が多く、脳塞栓は突発性で活動時発症もある
  • 重要用語: 心房細動, 脳塞栓, 一過性脳虚血発作, 出血性梗塞 を正確に理解しておくこと。
比較表
脳梗塞の病型 発症様式 主な原因 特徴
脳塞栓 突発性(数分以内) 心房細動などの心疾患 大梗塞が多い、出血性梗塞に移行しやすい
脳血栓(アテローム血栓性) 段階的進行 動脈硬化 TIAが先行、安静時発症が多い
ラクナ梗塞 緩徐 穿通枝のアテローム硬化 80%が無症候、意識障害なし
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題79|「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」最も考えられるのはどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題79|「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」最も考えられるのはどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学各論
App Store入手