学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1075

理由で解く 臨床医学各論

Q1075 神経疾患

出典:鍼灸 第14回(2006) 問題76
問題
閉塞により同名半盲をきたしやすい血管はどれか。
選択肢
1 前大脳動脈
2 中大脳動脈
3 後大脳動脈
4 椎骨動脈
解答
正解3(後大脳動脈)
解説
✗ 1. 誤り
前大脳動脈
前大脳動脈は前頭葉および頭頂葉の内側面を灌流しており、閉塞すると対側下肢優位の片麻痺が最も特徴的な症状として出現する。下肢の運動野・感覚野は大脳縦裂の内側面に位置するためである。その他に尿失禁、精神症状(意欲低下、無動無言)、把握反射がみられることがあるが、視覚野は灌流域に含まれないため同名半盲は特徴的ではない。
✗ 2. 誤り
中大脳動脈
中大脳動脈は大脳半球外側面の広範な領域を灌流する最大の脳動脈であり、閉塞すると対側の上肢・顔面優位の片麻痺、感覚障害、失語(優位半球)、半側空間無視(劣位半球)が主症状となる。視放線の一部が灌流域に含まれるため同側四分の一盲を呈することもあるが、完全な同名半盲は後大脳動脈閉塞ほど特徴的ではない。
✓ 3. 正しい
後大脳動脈
後大脳動脈は後頭葉(一次視覚野:ブロードマン17野)および側頭葉内側面を灌流しており、閉塞すると対側の同名半盲が最も特徴的な症状として出現する。一次視覚野は鳥距溝の周囲に位置し、対側半視野の情報を処理するため、一側の後大脳動脈閉塞では対側の同名半盲を呈する。黄斑回避(中心視野の保存)がみられることもあり、これは黄斑部の視覚野が中大脳動脈からも血流供給を受けるためである。
✗ 4. 誤り
椎骨動脈
椎骨動脈は脳幹・小脳を灌流する後方循環系の血管であり、閉塞するとワレンベルグ症候群(延髄外側症候群)が代表的に出現する。同側の顔面温痛覚障害、対側の四肢温痛覚障害(交代性感覚障害)、嚥下障害、構音障害、めまい、ホルネル症候群、小脳失調が特徴的であるが、視覚野は灌流域に含まれないため同名半盲は生じない。
ポイント
  • 後大脳動脈は後頭葉視覚野(鳥距溝周囲)を灌流し、閉塞により対側の同名半盲が最も特徴的に出現する
  • 同名半盲とは両眼の同側半視野が欠損する視野障害であり、視交叉より後方の視覚伝導路の障害で生じる
  • 各脳動脈閉塞の特徴的症状の対応を整理する:前大脳動脈=下肢麻痺、中大脳動脈=上肢麻痺・失語、後大脳動脈=同名半盲
  • 黄斑回避は後大脳動脈閉塞で中心視野が保存される現象で、黄斑部が中大脳動脈からの二重血液供給を受けることによる
  • 重要用語: 後大脳動脈閉塞、同名半盲、視覚野(鳥距溝)、黄斑回避 を正確に理解しておくこと。
比較表
閉塞血管 最も特徴的な症状 灌流域 その他の症状
前大脳動脈 対側下肢優位の片麻痺 前頭葉・頭頂葉内側面 尿失禁、精神症状、把握反射
中大脳動脈 対側上肢優位の片麻痺・失語 大脳半球外側面 感覚障害、半側空間無視
後大脳動脈 対側同名半盲 後頭葉・側頭葉内側面 視覚失認、色彩失認
椎骨動脈 ワレンベルグ症候群 延髄・小脳 交代性感覚障害、嚥下障害
解説画像
鍼灸 第14回(2006) 問題76|閉塞により同名半盲をきたしやすい血管はどれか。 解説図
鍼灸 第14回(2006) 問題76|閉塞により同名半盲をきたしやすい血管はどれか。
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