学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1077

理由で解く 臨床医学各論

Q1077 神経疾患

出典:鍼灸 第16回(2008) 問題80
問題
「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」入院後3日目から意識レベルは低下し、4日目には半昏睡となった。この原因として最も疑わなければならないのはどれか。
選択肢
1 急性心不全
2 出血性梗塞
3 徐脈
4 再塞栓
解答
正解2(出血性梗塞)
解説
✗ 1. 誤り
急性心不全
急性心不全では呼吸困難・起座呼吸・肺うっ血などが主症状であり、急速な意識低下から半昏睡に至る直接的な原因としては考えにくい。心房細動の患者では心不全のリスクもあるが、本症例の経過からは脳病変の進行が最も疑われる。
✓ 2. 正しい
出血性梗塞
脳塞栓では閉塞した血管が再開通し、血流が再流入することで、すでに脆弱になった梗塞巣に出血を起こし、出血性梗塞となることがある。発症後3〜4日目に脳浮腫が最も強くなるため、この時期に意識レベルが低下し半昏睡に至った経過は出血性梗塞と一致する。脳ヘルニアによる生命の危険があるため、病巣側の瞳孔散大・対光反射消失などの徴候に注意が必要である。
✗ 3. 誤り
徐脈
徐脈は血圧低下やめまいの原因となりうるが、心房細動の経過で突然の徐脈から半昏睡に至るという病態は、脳塞栓後の経過として出血性梗塞よりも可能性が低い。
✗ 4. 誤り
再塞栓
再塞栓(新たな脳塞栓の発生)も鑑別に挙がるが、入院後3〜4日目という時期は脳浮腫が最も強くなる時期であり、初回塞栓巣の出血性梗塞がまず疑われる。
ポイント
  • 脳塞栓後3〜4日目は脳浮腫が最も強くなる時期であり、出血性梗塞に最も注意が必要
  • 出血性梗塞は閉塞血管の再開通により梗塞巣に血流が再流入して出血を起こすもの
  • 意識状態の変化とともに脳ヘルニア徴候(瞳孔散大、対光反射消失)を観察する
  • 重要用語: 出血性梗塞, 脳浮腫, 脳ヘルニア, 脳塞栓の経過 を正確に理解しておくこと。
比較表
脳塞栓後の経過 時期 主な病態・注意点
発症直後 数分以内 突然の片麻痺・意識障害、CT正常のことが多い
急性期 1〜3日 脳浮腫の増大、CT上で低吸収域が出現
出血性梗塞 3〜4日 閉塞血管の再開通により梗塞巣に出血、意識低下
脳浮腫ピーク 3〜7日 脳ヘルニアの危険、瞳孔散大・対光反射消失に注意
解説画像
鍼灸 第16回(2008) 問題80|「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」入院後3日目から意識レベルは低下し、4日目には半昏睡となった。この原因として最も疑わなければならないのはどれか。 解説図
鍼灸 第16回(2008) 問題80|「72歳の男性。以前より発作性心房細動を指摘されていた。事務作業中に倒れたが、呼びかけには何とか返答できた。右上下肢は全く動かず、頭痛、嘔吐はなかった。」入院後3日目から意識レベルは低下し、4日目には半昏睡となった。この原因として最も疑わなければならないのはどれか。
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