学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1070

理由で解く 臨床医学各論

Q1070 神経疾患

出典:鍼灸 第9回(2001) 問題74
問題
心房細動に合併しやすい脳血管障害はどれか。
選択肢
1 脳血栓症
2 脳塞栓症
3 脳出血
4 くも膜下出血
解答
正解2(脳塞栓症)
解説
✗ 1. 誤り
脳血栓症
脳血栓症はアテローム血栓性脳梗塞とも呼ばれ、脳動脈の動脈硬化(アテローム硬化)部位に血栓が徐々に形成されて血管が閉塞する病態である。高血圧、糖尿病、高脂血症などの動脈硬化の危険因子が関与し、心房細動とは異なる発症機序をもつ。安静時・睡眠中に発症しやすく、症状は階段状に進行し、一過性脳虚血発作(TIA)が先行することも多い。
✓ 2. 正しい
脳塞栓症
心房細動では心房が不規則かつ無秩序に興奮するため有効な心房収縮が失われ、心房内(特に左心耳)に血液がうっ滞して血栓が形成されやすい。この血栓が剥離して動脈血流に乗り脳動脈を閉塞すると心原性脳塞栓症が発症する。脳塞栓は突然発症し数分以内に症状が完成する点が脳血栓と異なり、広範な梗塞巣を形成しやすく出血性梗塞に移行するリスクも高い。心房細動は脳塞栓の最も重要な原因疾患である。
✗ 3. 誤り
脳出血
脳出血の最大の原因は高血圧による脳内穿通枝(レンズ核線条体動脈など)の細動脈壊死・破裂であり、心房細動とは直接関係しない。被殻出血が最多で全脳出血の約40%を占め、突然の意識障害、対側片麻痺、病巣側への共同偏視が特徴的な所見である。CT検査で脳実質内の高吸収域として描出される。
✗ 4. 誤り
くも膜下出血
くも膜下出血の原因の90%以上は脳動脈瘤の破裂であり、心房細動とは関係しない。動脈瘤は脳底動脈輪(ウィリス動脈輪)の分岐部に好発し、前交通動脈(約30%)、内頸動脈-後交通動脈分岐部(約25%)、中大脳動脈分岐部(約21%)に多い。突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)と髄膜刺激症状が特徴的である。
ポイント
  • 心房細動は心原性脳塞栓症の最大の危険因子であり、心房内血栓形成→塞栓遊離→脳動脈閉塞の機序で発症する
  • 脳塞栓は突然発症して数分以内に症状が完成し、出血性梗塞に移行しやすい点が臨床上重要である
  • 脳血栓症は動脈硬化、脳出血は高血圧、くも膜下出血は動脈瘤破裂が主原因であり、いずれも心房細動とは無関係である
  • 心房細動患者への脳塞栓予防として抗凝固療法(ワルファリン、DOAC)が重要な治療となる
  • 重要用語: 心原性脳塞栓症、心房内血栓、左心耳、出血性梗塞、抗凝固療法 を正確に理解しておくこと。
比較表
脳血管障害 主な原因 心房細動との関連 発症様式
脳塞栓症 心房細動などの心疾患 直接関連(最大の危険因子) 突発性(数分以内に完成)
脳血栓症 動脈硬化(アテローム硬化) 関連なし 段階的進行、安静時発症
脳出血 高血圧(穿通枝破裂) 関連なし 急性発症
くも膜下出血 脳動脈瘤破裂 関連なし 超急性発症
解説画像
鍼灸 第9回(2001) 問題74|心房細動に合併しやすい脳血管障害はどれか。 解説図
鍼灸 第9回(2001) 問題74|心房細動に合併しやすい脳血管障害はどれか。
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