学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1071

理由で解く 臨床医学各論

Q1071 神経疾患

出典:あマ指 第10回(2002) 問題82
問題
皮質性感覚失語を示す脳梗塞に関係する血管はどれか。
選択肢
1 椎骨動脈
2 後大脳動脈
3 中大脳動脈
4 前大脳動脈
解答
正解3(中大脳動脈)
解説
✗ 1. 誤り
椎骨動脈
椎骨動脈は脳幹および小脳を灌流する後方循環系の動脈であり、大脳皮質の言語野の血流には関与しない。椎骨動脈閉塞では延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群)として、同側の顔面温痛覚障害、対側の四肢温痛覚障害(交代性感覚障害)、嚥下障害、めまい、ホルネル症候群、小脳失調などがみられるが、失語は出現しない。
✗ 2. 誤り
後大脳動脈
後大脳動脈は後頭葉(一次視覚野)および側頭葉内側面を灌流する血管であり、ウェルニッケ野(上側頭回後部)の灌流には関与しない。後大脳動脈閉塞では対側の同名半盲が最も特徴的な症状として出現し、その他に視覚失認や色彩失認を伴うことがある。
✓ 3. 正しい
中大脳動脈
皮質性感覚失語(ウェルニッケ失語)は左側頭葉のウェルニッケ野(上側頭回後部、ブロードマン22野)の障害で生じ、この領域は中大脳動脈の灌流域に含まれる。中大脳動脈は大脳半球外側面の広い範囲を灌流しており、運動野、感覚野、言語野(ブローカ野・ウェルニッケ野)をすべてカバーする。感覚性失語では言語理解が著しく障害され、自発語は流暢だが意味不明な発語(ジャルゴン失語)となり、錯語が多く本人の自覚に乏しい特徴がある。
✗ 4. 誤り
前大脳動脈
前大脳動脈は前頭葉および頭頂葉の内側面、帯状回を灌流する血管であり、ウェルニッケ野の灌流には関与しない。前大脳動脈閉塞では対側下肢優位の片麻痺が特徴的であり、その他に尿失禁、把握反射、精神症状(意欲低下、無動無言)がみられることがある。
ポイント
  • ウェルニッケ野(上側頭回後部)は中大脳動脈の灌流域に含まれ、障害されると感覚性失語(言語理解の障害が主体)を呈する
  • 中大脳動脈はブローカ野も灌流するため、閉塞部位により運動性失語・感覚性失語のいずれも出現しうる
  • 各脳動脈の閉塞による症状の違いを整理して覚える:前大脳動脈=下肢麻痺、中大脳動脈=上肢麻痺・失語、後大脳動脈=同名半盲
  • 感覚性失語と運動性失語の違い:感覚性は流暢だが理解不良、運動性は非流暢だが理解良好
  • 重要用語: ウェルニッケ野、中大脳動脈灌流域、感覚性失語、ブローカ野、運動性失語 を正確に理解しておくこと。
比較表
閉塞血管 灌流域 主な症状
内頸動脈 大脳半球広範 対側片麻痺、失語(優位半球)、意識障害
前大脳動脈 前頭葉・頭頂葉内側面 対側下肢優位の片麻痺、尿失禁
中大脳動脈 大脳半球外側面 対側上肢優位の片麻痺、失語(優位半球)、半側空間無視(劣位半球)
後大脳動脈 後頭葉・側頭葉内側面 対側同名半盲、視覚失認
解説画像
あマ指 第10回(2002) 問題82|皮質性感覚失語を示す脳梗塞に関係する血管はどれか。 解説図
あマ指 第10回(2002) 問題82|皮質性感覚失語を示す脳梗塞に関係する血管はどれか。
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