学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1069

理由で解く 臨床医学各論

Q1069 神経疾患

出典:鍼灸 第6回(1998) 問題85
問題
脳梗塞の症候でみられないのはどれか。
選択肢
1 片麻痺
2 項部硬直
3 失語症
4 感覚障害
解答
正解2(項部硬直)
解説
✗ 1.
片麻痺
✗ 正しい。脳梗塞では運動野(中心前回)や錐体路(内包後脚など)の障害により対側の片麻痺が出現する。中大脳動脈閉塞では顔面と上肢に強い片麻痺がみられ、前大脳動脈閉塞では下肢優位の片麻痺となる。片麻痺は脳梗塞の最も代表的な巣症状であり、障害血管の同定に重要な情報を提供する。
✓ 2. 誤り
項部硬直
項部硬直は脳梗塞ではみられない症候である。項部硬直は髄膜刺激徴候の一つで、くも膜下出血や細菌性髄膜炎など、くも膜下腔に血液や炎症が波及した場合に出現する。脳梗塞は脳実質内の虚血性病変であり、くも膜下腔への刺激がないため項部硬直は生じない。したがって、項部硬直の有無は脳梗塞とくも膜下出血の重要な鑑別点となる。
✗ 3.
失語症
✗ 正しい。優位半球(約90%以上の人で左大脳半球)の言語中枢が障害されると失語症が出現する。ブローカ野(前頭葉)の障害では運動性失語(非流暢性、言葉が出にくいが理解は良好)、ウェルニッケ野(側頭葉)の障害では感覚性失語(流暢だが意味不明、言語理解も障害)を呈する。いずれも中大脳動脈領域の脳梗塞で出現しやすい。
✗ 4.
感覚障害
✗ 正しい。感覚野(中心後回)やその伝導路(視床を含む体性感覚伝導路)の障害により対側の半身感覚障害が出現する。視床梗塞では全感覚の障害と視床痛(強い自発痛、灼熱感)がみられることがあり、ラクナ梗塞では純粋感覚性卒中として感覚障害のみが出現することもある。
ポイント
  • 脳梗塞では片麻痺、失語症、感覚障害などの局所神経症状(巣症状)が出現するが、項部硬直はみられない
  • 項部硬直はくも膜下出血や髄膜炎に特徴的な髄膜刺激徴候であり、脳梗塞との鑑別の重要なポイントとなる
  • 髄膜刺激徴候にはケルニッヒ徴候、ブルジンスキー徴候も含まれ、いずれもくも膜下腔への刺激で陽性となる
  • 脳梗塞の症状は閉塞血管の灌流域に対応した巣症状として出現する点を理解する
  • 重要用語: 項部硬直、髄膜刺激徴候、巣症状、くも膜下出血との鑑別 を正確に理解しておくこと。
比較表
徴候 脳梗塞 くも膜下出血 髄膜炎
項部硬直 なし あり(24時間後〜) あり
片麻痺 あり(巣症状) なし〜軽度 なし
頭痛 軽度〜なし 突然の激烈な頭痛 持続性頭痛
発熱 なし なし〜軽度 高熱
解説画像
鍼灸 第6回(1998) 問題85|脳梗塞の症候でみられないのはどれか。 解説図
鍼灸 第6回(1998) 問題85|脳梗塞の症候でみられないのはどれか。
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