学習トップ理由で解く 臨床医学各論第11章 ▸ A. 脳血管疾患 / Q1068

理由で解く 臨床医学各論

Q1068 神経疾患

出典:あマ指 第6回(1998) 問題86
問題
心房細動と関係の深い疾患はどれか。
選択肢
1 脳腫瘍
2 脳膜炎
3 脳塞栓
4 脳出血
解答
正解3(脳塞栓)
解説
✗ 1. 誤り
脳腫瘍
脳腫瘍は頭蓋内に発生する腫瘍性病変であり、心房細動とは病態生理学的に無関係である。脳腫瘍では頭蓋内圧亢進による頭痛(早朝頭痛)、嘔吐、うっ血乳頭の3主徴や、腫瘍の局在に応じた巣症状(片麻痺、失語、けいれんなど)が出現する。心原性塞栓とは全く異なる機序による疾患である。
✗ 2. 誤り
脳膜炎
脳膜炎(髄膜炎)は細菌やウイルスなどの病原体による髄膜の感染性炎症であり、心房細動とは関係しない。発熱、頭痛、項部硬直の髄膜刺激3徴候が特徴的で、ケルニッヒ徴候やブルジンスキー徴候も陽性となる。血行性の塞栓とは異なる感染経路で発症する。
✓ 3. 正しい
脳塞栓
心房細動では心房が有効に収縮しないため心房内に血液がうっ滞し、特に左心耳に血栓が形成されやすい。この血栓が剥離して動脈血流に乗り脳動脈を閉塞することで心原性脳塞栓症が発症する。心房細動は脳塞栓の最も重要な原因疾患であり、脳塞栓全体の約50%を占める。脳塞栓は突然発症して数分以内に症状が完成し、広範な梗塞巣を形成しやすく、出血性梗塞に移行するリスクも高い。
✗ 4. 誤り
脳出血
脳出血の最大の原因は高血圧による脳内細動脈(穿通枝)の変性・破裂であり、心房細動とは直接の関連はない。ただし心房細動に対する抗凝固療法中に脳出血のリスクが上昇することはあるが、心房細動自体が脳出血の原因となるわけではない。被殻出血が最多で、突然の意識障害と対側片麻痺が特徴的である。
ポイント
  • 心房細動は心房内血栓形成の最大の原因であり、心原性脳塞栓症の約50%を占める
  • 脳塞栓は数分以内に症状が完成し、広範な梗塞巣を形成しやすく出血性梗塞に移行しやすい
  • 心房細動以外の脳塞栓の原因として僧帽弁狭窄症、感染性心内膜炎、心筋梗塞後の壁在血栓がある
  • 心房細動に対しては脳塞栓予防のために抗凝固療法(ワルファリン、DOAC)が行われる
  • 重要用語: 心房細動、心原性脳塞栓症、左心耳血栓、出血性梗塞 を正確に理解しておくこと。
比較表
脳塞栓の原因疾患 血栓形成部位 特徴
心房細動 左心耳 最多(約50%)、発作性でもリスクあり
僧帽弁狭窄症 左心房 リウマチ熱の後遺症が多い
感染性心内膜炎 弁膜上の疣贅 敗血症性塞栓、細菌性動脈瘤も形成
心筋梗塞 左心室壁在血栓 前壁梗塞後に多い
解説画像
あマ指 第6回(1998) 問題86|心房細動と関係の深い疾患はどれか。 解説図
あマ指 第6回(1998) 問題86|心房細動と関係の深い疾患はどれか。
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 臨床医学各論
App Store入手