学習トップ理由で解く 臨床医学各論第10章 ▸ A. 赤血球疾患 / Q1016

理由で解く 臨床医学各論

Q1016 血液・造血器疾患

出典:あマ指 第32回(2024) 問題79
問題
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「70歳の男性。胃全摘手術後3年。労作時息切れを訴えるようになった。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。鉄剤は投与されている。」最も考えられる検査所見はどれか。
選択肢
1 小球性低色素性貧血
2 大球性正色素性貧血
3 正球性正色素性貧血
4 汎血球減少
解答
正解2(大球性正色素性貧血)
解説
✗ 1. 誤り
小球性低色素性貧血
小球性低色素性貧血は鉄欠乏性貧血の所見である。本症例では鉄剤が投与されているため、鉄欠乏は補正されている。胃全摘後3年経過していることから、ビタミンB12欠乏が考えられる。
✓ 2. 正しい
大球性正色素性貧血
胃全摘手術後3年で、鉄剤が投与されているにもかかわらず貧血症状がある場合、大球性正色素性貧血(巨赤芽球性貧血)が最も考えられる。胃全摘により内因子が分泌されなくなり、ビタミンB12の吸収が障害される。ビタミンB12は肝臓に数年分貯蔵されているため、術後数年で欠乏症状が出現する。
✗ 3. 誤り
正球性正色素性貧血
正球性正色素性貧血は溶血性貧血や再生不良性貧血、腎性貧血の所見である。胃全摘後のビタミンB12欠乏では大球性貧血を呈する(正球性ではない)。
✗ 4. 誤り
汎血球減少
汎血球減少(赤血球↓、白血球↓、血小板↓)は再生不良性貧血の所見である。本症例の病歴(胃全摘後3年)からはビタミンB12欠乏性の巨赤芽球性貧血が最も考えられる。
ポイント
  • 胃全摘後のビタミンB12欠乏は、内因子の欠乏によりビタミンB12が吸収できないために起こる。
  • ビタミンB12の肝臓貯蔵量は数年分あるため、術後数年経過してから貧血が顕在化する。
  • 鉄剤投与中にもかかわらず貧血が改善しない場合は、他の原因(ビタミンB12欠乏など)を考える必要がある。
  • 重要用語: 胃全摘後、ビタミンB12欠乏、内因子、大球性正色素性貧血 を正確に理解しておくこと。
比較表
胃全摘後の合併症 原因 発症時期
鉄欠乏性貧血 胃酸低下による鉄吸収障害 比較的早期
巨赤芽球性貧血 内因子欠乏によるVitB12吸収障害 術後数年
ダンピング症候群 急速な食物排出 術後早期〜
解説画像
あマ指 第32回(2024) 問題79|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「70歳の男性。胃全摘手術後3年。労作時息切れを訴えるようになった。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。鉄剤は投与されている。」最も考えられる検査所見はどれか。 解説図
あマ指 第32回(2024) 問題79|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「70歳の男性。胃全摘手術後3年。労作時息切れを訴えるようになった。眼瞼結膜は蒼白である。出血傾向、黄疸、浮腫はない。鉄剤は投与されている。」最も考えられる検査所見はどれか。
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