学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ B. 関節疾患 / Q0661

理由で解く 臨床医学各論

Q0661 整形外科疾患

出典:あマ指 第32回(2024) 問題78
問題
次の文で示す症例について、問いに答えよ。「87歳の女性。昨日から右膝痛と38℃の発熱が出現した。右膝関節に熱感、腫脹及び膝蓋跳動を認める。関節液の偏光顕微鏡観察で結晶を認めた。」確認された結晶の成分で可能性が高いのはどれか。
選択肢
1 尿酸ナトリウム
2 ヒアルロン酸ナトリウム
3 シュウ酸カルシウム
4 ピロリン酸カルシウム
解答
正解4(ピロリン酸カルシウム)
解説
✗ 1. 誤り
尿酸ナトリウム
尿酸ナトリウム結晶は痛風で認められる結晶であり、偏光顕微鏡で針状・負の複屈折を示す。痛風は第1中足趾節関節に好発し、中年男性に多い。本症例は87歳女性で膝関節であり、痛風よりも偽痛風を考える。
✗ 2. 誤り
ヒアルロン酸ナトリウム
ヒアルロン酸ナトリウムは関節液の正常成分(潤滑・緩衝作用)であり、病的な結晶として関節内に沈着するものではない。変形性関節症に対する関節注射薬として使用されることがある。
✗ 3. 誤り
シュウ酸カルシウム
シュウ酸カルシウムは腎結石(尿路結石)の最も多い成分であり、関節液中に結晶として沈着する疾患は一般的でない。透析患者でまれにシュウ酸カルシウム結晶関節炎がみられることがあるが、頻度は低い。
✓ 4. 正しい
ピロリン酸カルシウム
ピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶は偽痛風(CPPD沈着症)で関節液中に認められる。偏光顕微鏡では弱い正の複屈折を示す菱形・棒状の結晶として観察される。高齢者の大関節(膝関節)に好発し、急性の関節炎として発症する。X線では関節軟骨の石灰化(軟骨石灰化症)が特徴的所見である。
ポイント
  • 偽痛風はCPPD結晶の関節内沈着により生じ、高齢者の膝関節に好発する
  • 痛風は尿酸ナトリウム結晶(針状・負の複屈折)、偽痛風はCPPD結晶(菱形・正の複屈折)で鑑別
  • X線で軟骨石灰化(chondrocalcinosis)がみられれば偽痛風を示唆する
  • 重要用語: 偽痛風, ピロリン酸カルシウム結晶, CPPD, 正の複屈折, 軟骨石灰化 を正確に理解しておくこと。
比較表
項目 痛風 偽痛風(CPPD沈着症)
結晶成分 尿酸ナトリウム ピロリン酸カルシウム
結晶形態 針状 菱形・棒状
複屈折 負の複屈折 正の複屈折
好発部位 第1MTP関節 膝関節
好発年齢 中年男性 高齢者
解説画像
あマ指 第32回(2024) 問題78|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「87歳の女性。昨日から右膝痛と38℃の発熱が出現した。右膝関節に熱感、腫脹及び膝蓋跳動を認める。関節液の偏光顕微鏡観察で結晶を認めた。」確認された結晶の成分で可能性が高いのはどれか。 解説図
あマ指 第32回(2024) 問題78|次の文で示す症例について、問いに答えよ。「87歳の女性。昨日から右膝痛と38℃の発熱が出現した。右膝関節に熱感、腫脹及び膝蓋跳動を認める。関節液の偏光顕微鏡観察で結晶を認めた。」確認された結晶の成分で可能性が高いのはどれか。
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