学習トップ理由で解く 臨床医学各論第9章 ▸ A. 心臓疾患 / Q0920

理由で解く 臨床医学各論

Q0920 循環器疾患

出典:鍼灸 第32回(2024) 問題61
問題
左心不全の身体所見はどれか。
選択肢
1 腹水
2 下肢の浮腫
3 肝腫大
4 起坐呼吸
解答
正解4(起坐呼吸)
解説
✗ 1. 誤り
腹水
腹水は右心不全の身体所見である。右心不全では体循環系のうっ血により門脈圧が上昇し、腹腔内に液体が貯留する。右心系の機能低下では上・下大静脈のうっ血をきたし、浮腫、肝腫大とともに腹水が出現する。左心不全では肺循環系のうっ血が主体であり、腹水は生じにくい。
✗ 2. 誤り
下肢の浮腫
下肢の浮腫(すねで圧痕を残すむくみ)は右心不全の代表的な身体所見である。右心室の機能低下により下大静脈がうっ血し、下肢に浮腫が出現する。右心不全の主要所見として肝腫大・頸静脈怒張とともに重要であり、左心不全の主要所見ではない。
✗ 3. 誤り
肝腫大
肝腫大は右心不全の身体所見である。右心室の機能低下により肝静脈がうっ血し、肝臓が腫大する(うっ血肝)。食欲低下や倦怠感の原因となる。左心不全では肺静脈のうっ血が主体であり、肝腫大は生じにくい。
✓ 4. 正しい
起坐呼吸
起座呼吸は左心不全に特徴的な身体所見である。左心室のポンプ機能低下により肺静脈・肺毛細血管にうっ血が生じ、横になると静脈還流量が増加して肺うっ血がさらに悪化するため、座った姿勢で呼吸する。夜間就寝後数時間で息苦しさが出現する夜間発作性呼吸困難も左心不全の特徴であり、ひどくなるとピンク色泡沫状の痰を喀出するようになる。さらに体動時には咳嗽や心臓喘息が出現する。
ポイント
  • 左心不全の所見(肺循環うっ血):起座呼吸、夜間発作性呼吸困難、肺うっ血、心臓喘息、ピンク色泡沫状痰。右心不全の所見(体循環うっ血):腹水、下肢浮腫、肝腫大、頸静脈怒張。この区別は頻出である。
  • 左心不全が進行すると肺高血圧から右心不全も合併し、両方の症状が混在するようになる。
  • 心不全の診断にはBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の血中値上昇が有用であり、心エコーにより心機能の評価が行われる。
  • 重要用語: 起座呼吸、左心不全、肺うっ血、右心不全、夜間発作性呼吸困難 を正確に理解しておくこと。
比較表
所見 左心不全 右心不全
呼吸器系 起座呼吸・夜間発作性呼吸困難・肺うっ血 通常なし
浮腫 通常なし 下肢浮腫・腹水
肝臓 通常正常 肝腫大(うっ血肝)
頸静脈 通常正常 怒張
解説画像
鍼灸 第32回(2024) 問題61|左心不全の身体所見はどれか。 解説図
鍼灸 第32回(2024) 問題61|左心不全の身体所見はどれか。
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