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理由で解く 臨床医学各論

Q0867 整形外科疾患

出典:あマ指 第28回(2020) 問題72
問題
「58歳の男性。1か月前に転倒し、右肩を打撲して以来、夜間痛がある。左手で支えれば右肩は側方挙上できるが、支えなければ90度以上の挙上が困難である。」本症例でみられるのはどれか。
選択肢
1 アリス徴候
2 ガワーズ徴候
3 ティネル徴候
4 インピンジメント徴候
解答
正解4(インピンジメント徴候)
解説
✗ 1. 誤り
アリス徴候
アリス徴候(アプリヘンションサイン)は膝蓋骨の不安定性を評価する所見で、膝蓋骨脱臼の既往がある患者で膝蓋骨を外側に押すと不安感を訴える。 肩の外傷や腱板損傷とは関係がなく、本症例の肩関節病態には該当しない。
✗ 2. 誤り
ガワーズ徴候
ガワーズ徴候(登攀性起立)はデュシェンヌ型筋ジストロフィーに特徴的な所見で、床から立ち上がる際に手で膝を押して体をよじ登るように起き上がる動作をいう。 近位筋の筋力低下を反映した所見であり、本症例の外傷後の肩関節病態とは無関係である。
✗ 3. 誤り
ティネル徴候
ティネル徴候は末梢神経障害(手根管症候群など)において、神経走行部を叩打すると支配領域に放散痛やしびれが生じる所見である。 神経再生の評価にも用いられるが、腱板損傷の評価には用いられない。
✓ 4. 正しい
インピンジメント徴候
58歳男性が転倒による右肩打撲後に夜間痛を認め、他動的(左手で支えて)には挙上可能だが自動的には90度以上の挙上が困難である。 この所見は腱板損傷(特に棘上筋腱損傷)を強く示唆し、インピンジメント徴候が陽性となる。 肩関節を挙上する際に損傷した腱板が肩峰と上腕骨頭の間で挟み込まれ(インピンジメント)、疼痛が誘発される。 ニアーテスト(肩関節を前方挙上・内旋)やホーキンステスト(90度屈曲位で内旋)がインピンジメント徴候の代表的検査法である。
ポイント
  • 外傷後の「夜間痛」「自動挙上困難・他動挙上可能」は腱板損傷を示唆する最も重要な所見である
  • インピンジメント徴候は腱板が肩峰下で圧迫されることで生じ、ニアーテスト・ホーキンステストで評価する
  • 各徴候名と対応する疾患の組合せは頻出テーマであり、特にアリス徴候・ガワーズ徴候・ティネル徴候との混同に注意する
  • 重要用語: 腱板損傷, インピンジメント徴候, 夜間痛, 自動挙上困難 を正確に理解しておくこと。
比較表
徴候名 対応する疾患 検査方法の概要
インピンジメント徴候 腱板損傷 肩挙上時に腱板が肩峰下で圧迫
アリス徴候(アプリヘンション) 膝蓋骨不安定性 膝蓋骨を外側に押して不安感
ガワーズ徴候 筋ジストロフィー 手で膝を押して起立
ティネル徴候 末梢神経障害 神経走行部叩打で放散痛
解説画像
あマ指 第28回(2020) 問題72|「58歳の男性。1か月前に転倒し、右肩を打撲して以来、夜間痛がある。左手で支えれば右肩は側方挙上できるが、支えなければ90度以上の挙上が困難である。」本症例でみられるのはどれか。 解説図
あマ指 第28回(2020) 問題72|「58歳の男性。1か月前に転倒し、右肩を打撲して以来、夜間痛がある。左手で支えれば右肩は側方挙上できるが、支えなければ90度以上の挙上が困難である。」本症例でみられるのはどれか。
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