学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ H. 外傷 / Q0858

理由で解く 臨床医学各論

Q0858 整形外科疾患

出典:あマ指 第30回(2022) 問題77
問題
「18歳の女子。バスケットボール中、ジャンプしたときに相手と接触してバランスを崩し、着地時に右下腿外旋、膝関節外反が強制され受傷した。」膝関節の診察所見で正しいのはどれか。
選択肢
1 可動域は正常である。
2 内反動揺性が認められる。
3 ラックマンテスト陽性である。
4 サギングサイン陽性である。
解答
正解3(ラックマンテスト陽性である。)
解説
✗ 1. 誤り
可動域は正常である。
前十字靭帯(ACL)損傷では関節内血腫による腫脹と疼痛のため、膝関節の可動域は制限される。 受傷直後から関節内出血(関節血腫)が生じ、膝は著明に腫脹する。ACL損傷後の関節穿刺では血性関節液が吸引されることが多く、正常な可動域は得られない。
✗ 2. 誤り
内反動揺性が認められる。
内反動揺性は外側側副靭帯(LCL)損傷の所見であり、本症例の受傷機転とは合致しない。 本症例は膝関節外反・下腿外旋の受傷機転であるため、損傷されるのは内側側副靭帯(MCL)や前十字靭帯であり、外反動揺性(外反ストレステスト陽性)が出現する。内反と外反を混同しないよう注意する。
✓ 3. 正しい
ラックマンテスト陽性である。
ラックマンテストは前十字靭帯(ACL)損傷の代表的な検査法であり、本症例で陽性となる。 膝関節を軽度屈曲位(約20〜30度)とし、大腿骨を固定しながら脛骨を前方に引き出す。ACL損傷があれば脛骨の前方移動量が増大し陽性となる。膝関節外反・下腿外旋の受傷機転はACL損傷の典型的パターンであり、前方引き出しテストやピボットシフトテストも有用である。
✗ 4. 誤り
サギングサイン陽性である。
サギングサイン(脛骨後方沈下サイン)は後十字靭帯(PCL)損傷の所見であり、前十字靭帯損傷では陽性にならない。 膝を90度屈曲して仰臥位にした際に、重力で脛骨近位部が後方に沈下する現象である。PCL損傷では後方引き出しテストも陽性となる。
ポイント
  • 膝関節外反・下腿外旋の受傷機転はACL損傷を強く示唆し、ラックマンテストが最も感度の高い検査法である
  • サギングサインはPCL損傷、内反動揺性はLCL損傷の所見であり、損傷靭帯と検査法の対応を正確に覚える
  • ACL損傷では受傷直後に関節血腫(関節穿刺で血性)を認め、可動域は制限される
  • 重要用語: ラックマンテスト, 前十字靭帯損傷, サギングサイン, ピボットシフトテスト を正確に理解しておくこと。
比較表
検査法 対象靭帯 手技の概要
ラックマンテスト 前十字靭帯(ACL) 膝軽度屈曲位で脛骨を前方に引き出す
前方引き出しテスト 前十字靭帯(ACL) 膝90度屈曲位で脛骨を前方に引き出す
ピボットシフトテスト 前十字靭帯(ACL) 膝伸展位から外反・内旋しつつ屈曲
サギングサイン 後十字靭帯(PCL) 膝90度屈曲位で脛骨の後方沈下を観察
外反ストレステスト 内側側副靭帯(MCL) 膝軽度屈曲位で外反ストレスを加える
内反ストレステスト 外側側副靭帯(LCL) 膝軽度屈曲位で内反ストレスを加える
解説画像
あマ指 第30回(2022) 問題77|「18歳の女子。バスケットボール中、ジャンプしたときに相手と接触してバランスを崩し、着地時に右下腿外旋、膝関節外反が強制され受傷した。」膝関節の診察所見で正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第30回(2022) 問題77|「18歳の女子。バスケットボール中、ジャンプしたときに相手と接触してバランスを崩し、着地時に右下腿外旋、膝関節外反が強制され受傷した。」膝関節の診察所見で正しいのはどれか。
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