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理由で解く 臨床医学各論

Q0835 整形外科疾患

出典:あマ指 第19回(2011) 問題74
問題
「85歳の女性。骨粗鬆症の治療中。トイレに行こうとして転倒、殿部と腰を打撲し、歩けなくなった。股関節は外旋位をとり、痛みは右殿部に強い。」この病態について正しい記述はどれか。
選択肢
1 坐骨神経損傷が多い。
2 寝返り動作は障害されにくい。
3 寝たきりの原因となる危険性が高い。
4 保存療法で歩行予後は良好である。
解答
正解3(寝たきりの原因となる危険性が高い。)
解説
✗ 1. 誤り
坐骨神経損傷が多い。
大腿骨頸部骨折において坐骨神経損傷を合併することは稀である。坐骨神経は骨盤後方を走行するため、頸部骨折の受傷機転で直接損傷されにくい。股関節後方脱臼では坐骨神経損傷が問題となる。
✗ 2. 誤り
寝返り動作は障害されにくい。
大腿骨頸部骨折では寝返り動作でも骨折部に外力が加わり強い疼痛が生じる。股関節のわずかな動きでも痛みが増強するため、寝返りは明らかに障害される。
✓ 3. 正しい
寝たきりの原因となる危険性が高い。
大腿骨頸部骨折は高齢者の寝たきりの最大原因の一つである。長期臥床を余儀なくされると、認知症の進行・肺炎・褥瘡・尿路感染・深部静脈血栓症・筋力低下や拘縮など多くの合併症(廃用症候群)を生じる。受傷後1年以内の死亡率は10〜20%と高率であり、早期の手術とリハビリテーションが重要である。
✗ 4. 誤り
保存療法で歩行予後は良好である。
高齢者の大腿骨頸部骨折は保存療法のみでは歩行予後が不良である。内側骨折では骨頭壊死リスクが高く骨癒合が困難であるため人工骨頭置換術が、外側骨折では骨接合術が選択され、術後早期からのリハビリテーションが推奨される。
ポイント
  • 85歳女性・骨粗鬆症・転倒後の歩行不能・股関節外旋位は大腿骨頸部骨折の典型的所見である
  • 大腿骨頸部骨折は高齢者の寝たきりの最大原因であり、早期手術とリハビリテーションが重要である
  • 内側骨折は骨頭壊死リスクが高く骨癒合困難であるため人工骨頭置換術が選択される
  • 重要用語: 大腿骨頸部骨折, 人工骨頭置換術, 廃用症候群 を正確に理解しておくこと。
比較表
項目 内側骨折(頸部内側) 外側骨折(転子部)
骨頭壊死リスク 高い 低い
骨癒合 困難 比較的良好
主な術式 人工骨頭置換術 骨接合術
出血量 少ない 多い
解説画像
あマ指 第19回(2011) 問題74|「85歳の女性。骨粗鬆症の治療中。トイレに行こうとして転倒、殿部と腰を打撲し、歩けなくなった。股関節は外旋位をとり、痛みは右殿部に強い。」この病態について正しい記述はどれか。 解説図
あマ指 第19回(2011) 問題74|「85歳の女性。骨粗鬆症の治療中。トイレに行こうとして転倒、殿部と腰を打撲し、歩けなくなった。股関節は外旋位をとり、痛みは右殿部に強い。」この病態について正しい記述はどれか。
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