学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ G. 脊髄損傷 / Q0800

理由で解く 臨床医学各論

Q0800 整形外科疾患

出典:鍼灸 第20回(2012) 問題78
問題
「65歳の男性。3週間前に転倒し、前頭部を強打した。その時以後両上肢のしびれ感と歩行困難が出現している。」この患者の症状で誤っている記述はどれか。
選択肢
1 横隔膜呼吸が消失する。
2 両上肢の脱力がみられる。
3 膝蓋腱反射が亢進する。
4 排尿困難がある。
解答
正解1(横隔膜呼吸が消失する。)
解説
✓ 1. 誤り
横隔膜呼吸が消失する。
横隔膜はC3〜C5の横隔神経に支配されており、脊髄の中心部が損傷される頸髄中心性損傷では横隔神経の経路は比較的保たれる。横隔膜呼吸が消失するのはC3以上の上位頸髄の完全損傷の場合であり、中心性損傷では横隔膜機能は保持される。
✗ 2.
両上肢の脱力がみられる。
✗ 正しい。脊髄中心部の灰白質(前角細胞)が障害されるため、上肢の運動ニューロンが傷害されて両上肢の脱力がみられる。頸髄中心性損傷では上肢の症状が下肢より顕著であるのが特徴的である。
✗ 3.
膝蓋腱反射が亢進する。
✗ 正しい。下肢の錐体路(皮質脊髄路)は脊髄の外側部を走行するため中心性損傷では比較的保たれるが、一部の障害により痙性麻痺が生じ膝蓋腱反射が亢進する。下肢の深部腱反射亢進は錐体路障害の所見として矛盾しない。
✗ 4.
排尿困難がある。
✗ 正しい。脊髄中心部には膀胱機能に関与する自律神経経路が含まれており、中心性損傷により排尿困難(膀胱直腸障害)がみられる。脊髄損傷では排尿障害は重要な随伴症状の一つである。
ポイント
  • 頸髄中心性損傷では上肢優位の運動障害・膀胱直腸障害・下肢の錐体路症状(腱反射亢進)がみられる
  • 横隔膜はC3〜C5の横隔神経支配であり、中心性損傷では機能が保持される
  • 横隔膜呼吸が消失するのはC3以上の上位頸髄完全損傷の場合である
  • 重要用語: 頸髄中心性損傷, 横隔神経(C3-C5), 膀胱直腸障害 を正確に理解しておくこと。
比較表
症状 頸髄中心性損傷での出現 機序
上肢の脱力 ○(上肢優位) 前角細胞の障害
下肢の痙性麻痺 ○(軽度〜中等度) 外側の錐体路の部分障害
膝蓋腱反射亢進 錐体路障害
排尿困難 自律神経経路の障害
横隔膜呼吸消失 × C3-5の横隔神経は保たれる
解説画像
鍼灸 第20回(2012) 問題78|「65歳の男性。3週間前に転倒し、前頭部を強打した。その時以後両上肢のしびれ感と歩行困難が出現している。」この患者の症状で誤っている記述はどれか。 解説図
鍼灸 第20回(2012) 問題78|「65歳の男性。3週間前に転倒し、前頭部を強打した。その時以後両上肢のしびれ感と歩行困難が出現している。」この患者の症状で誤っている記述はどれか。
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