学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ F. 脊椎疾患 / Q0754

理由で解く 臨床医学各論

Q0754 整形外科疾患

出典:鍼灸 第13回(2005) 問題75
問題
下部腰椎椎間板ヘルニアで認めにくい記述はどれか。
選択肢
1 坐骨神経痛を伴う。
2 ギックリ腰ではじまる。
3 大腿内側の知覚障害を認める。
4 髄核は後側方に脱出する。
解答
正解3(大腿内側の知覚障害を認める)
解説
✗ 1.
坐骨神経痛を伴う。
✗ 正しい。下部腰椎椎間板ヘルニア(L4/5、L5/S1)ではL5やS1神経根が圧迫され、坐骨神経痛(殿部から大腿後面・下腿・足部への放散痛)を高頻度に伴う。坐骨神経はL4〜S3神経根から構成されるため、下部腰椎ヘルニアでは典型的に出現する症状であり、認めやすい所見である。
✗ 2.
ギックリ腰ではじまる。
✗ 正しい。急性の腰椎椎間板ヘルニアはぎっくり腰(急性腰痛、acute low back pain)様の急性発症で始まることが多い。重量物の挙上や前屈動作などがきっかけとなり、突然の激しい腰痛と下肢痛が出現する。急性発症は認めやすい臨床経過である。
✓ 3. 誤り
大腿内側の知覚障害を認める。
大腿内側の知覚障害はL3〜L4神経根領域の障害でみられ、上部腰椎椎間板ヘルニア(L2/3やL3/4)の所見である。下部腰椎(L4/5、L5/S1)椎間板ヘルニアでは、L5障害の場合は下腿外側〜足背、S1障害の場合は足外側〜小趾の知覚障害がみられるが、大腿内側の知覚障害は認めにくい。上部と下部のヘルニアで障害される神経根と知覚障害領域が異なる点が出題の核心である。
✗ 4.
髄核は後側方に脱出する。
✗ 正しい。腰椎椎間板ヘルニアでは後縦靱帯が正中部で強固なため、髄核は後縦靱帯の相対的に弱い後側方(paracentral)に脱出しやすい。後側方への脱出は腰椎ヘルニアの典型的な病態であり、認めやすい所見である。
ポイント
  • 大腿内側の知覚障害はL3〜L4領域の障害(上部腰椎ヘルニア)でみられ、下部腰椎(L4/5、L5/S1)ヘルニアでは認めにくい
  • 下部腰椎ヘルニアでは坐骨神経痛、急性発症(ぎっくり腰)、後側方への脱出、下腿外側や足部の知覚障害が特徴的である
  • 上部腰椎ヘルニアと下部腰椎ヘルニアでは障害される神経根が異なるため、知覚障害領域も明確に区別する必要がある
  • 重要用語: 下部腰椎椎間板ヘルニア, 大腿内側知覚障害, デルマトーム を正確に理解しておくこと。
比較表
ヘルニア部位 障害神経根 知覚障害領域 筋力低下
L3/4間(上部) L4神経根 大腿内側・下腿内側 大腿四頭筋(膝伸展)
L4/5間(下部) L5神経根 下腿外側・足背・母趾 前脛骨筋・長母趾伸筋(母趾背屈)
L5/S1間(下部) S1神経根 足外側・小趾・足底 腓腹筋・ヒラメ筋(足底屈)
解説画像
鍼灸 第13回(2005) 問題75|下部腰椎椎間板ヘルニアで認めにくい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第13回(2005) 問題75|下部腰椎椎間板ヘルニアで認めにくい記述はどれか。
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