学習トップ理由で解く 臨床医学各論第7章 ▸ A. 糖代謝異常 / Q0540

理由で解く 臨床医学各論

Q0540 代謝・栄養疾患

出典:あマ指 第12回(2004) 問題82
問題
糖尿病性神経障害でみられないのはどれか。
選択肢
1 深部腱反射亢進
2 勃起障害(ED)
3 起立性低血圧
4 筋萎縮
解答
正解1(深部腱反射亢進)
解説
✓ 1. 誤り
深部腱反射亢進
糖尿病性神経障害では深部腱反射は「亢進」ではなく「低下または消失」する。糖尿病性神経障害は末梢神経(下位運動ニューロン)の障害であるため、反射弓が断たれてアキレス腱反射や膝蓋腱反射が減弱・消失する。深部腱反射亢進は上位運動ニューロン障害(錐体路障害:脳卒中・脊髄疾患など中枢神経障害)で見られる所見であり、末梢神経障害では出現しない。この上位と下位の運動ニューロン障害の違いは神経学的診察の基本である。
✗ 2.
勃起障害(ED)
✗ 正しい。勃起障害(ED:erectile dysfunction)は糖尿病性自律神経障害の代表的症状である。陰茎海綿体への血流を調節する副交感神経(骨盤内臓神経)が障害され、勃起に必要な血管拡張が不十分となる。さらに末梢血管障害による陰茎の血流低下も加わる。糖尿病男性の約30〜50%にEDが見られ、性機能障害としてQOL低下の重要な要因となる。
✗ 3.
起立性低血圧
✗ 正しい。起立性低血圧は糖尿病性自律神経障害による血管運動調節障害で生じる。正常では立位になると交感神経が反射的に末梢血管を収縮させて血圧を維持するが、自律神経障害があるとこの代償機構が働かず、起立時に収縮期血圧が20mmHg以上低下して立ちくらみ・めまい・失神などを呈する。
✗ 4.
筋萎縮
✗ 正しい。筋萎縮は糖尿病性神経障害による運動神経障害の結果として生じる。運動神経の障害により筋肉への神経支配が失われ、神経原性筋萎縮を来す。特に下腿の前脛骨筋・腓腹筋や手の骨間筋に萎縮が見られ、筋力低下を伴う。進行すると足の変形(鉤爪趾など)を来し、足病変のリスクが高まる。
ポイント
  • 深部腱反射の方向で障害レベルを判定する:末梢神経障害(下位運動ニューロン)では反射「低下・消失」、中枢神経障害(上位運動ニューロン=錐体路障害)では反射「亢進」。糖尿病性神経障害は末梢神経障害なので反射は低下する。
  • 糖尿病性神経障害の3つの要素を整理する:感覚神経障害(しびれ・疼痛・感覚鈍麻)、運動神経障害(筋萎縮・筋力低下・腱反射低下)、自律神経障害(ED・起立性低血圧・便秘・排尿障害・発汗異常)。
  • 重要用語: 深部腱反射低下、勃起障害、起立性低血圧、筋萎縮、上位運動ニューロン障害 を正確に理解しておくこと。
比較表
所見 末梢神経障害(下位運動ニューロン) 中枢神経障害(上位運動ニューロン)
深部腱反射 低下・消失 亢進
筋緊張 低下(弛緩性) 亢進(痙縮性)
筋萎縮 あり(早期から出現) 軽度(廃用性)
病的反射 なし バビンスキー反射陽性
代表疾患 糖尿病性神経障害、ギラン・バレー 脳卒中、脊髄損傷
解説画像
あマ指 第12回(2004) 問題82|糖尿病性神経障害でみられないのはどれか。 解説図
あマ指 第12回(2004) 問題82|糖尿病性神経障害でみられないのはどれか。
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