学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ C. 膵臓疾患 / Q0249

理由で解く 臨床医学各論

Q0249 肝・胆・膵疾患

出典:あマ指 第22回(2014) 問題70
問題
急性膵炎について正しいのはどれか。
選択肢
1 成因が不明なものが多い。
2 腹痛は起坐位で軽減する。
3 重症例では低カルシウム血症がみられる。
4 慢性膵炎に移行することが多い。
解答
正解3(重症例では低カルシウム血症がみられる。)
解説
✗ 1. 誤り
成因が不明なものが多い。
急性膵炎の成因はアルコール多飲(約40%、最多)と胆石(約20%)が大部分を占め、成因不明(特発性)は約25%である。 アルコールと胆石の二大原因で約60%を占めるため、成因不明が「多い」とは言えない。 男性ではアルコール性、女性では胆石性が最多原因である。
✗ 2. 誤り
腹痛は起坐位で軽減する。
急性膵炎の腹痛は座位前屈位(前かがみの姿勢)で軽減するのであり、単なる起坐位では十分に軽減しない。 膵臓は後腹膜臓器であるため、前屈位により腹膜の緊張が緩和されて疼痛が軽減する。 起坐位は心不全による呼吸困難(起坐呼吸)の軽減に有効な姿勢であり、急性膵炎と混同しないこと。
✓ 3. 正しい
重症例では低カルシウム血症がみられる。
急性膵炎の重症例では低カルシウム血症がみられる。 膵壊死に伴い脂肪壊死が生じ、壊死部位でカルシウムが脂肪酸と結合して消費されるため、血中カルシウムが低下する。 低カルシウム血症は重症度判定の指標の一つであり、テタニーなどの症状を呈することがある。
✗ 4. 誤り
慢性膵炎に移行することが多い。
急性膵炎から慢性膵炎への移行は約10%と低率であり、「多い」とは言えない。 原因が取り除かれれば多くの場合は治癒するが、ときに仮性嚢胞や膵膿瘍を残すことがある。 一方、重症急性膵炎ではDICや多臓器不全を合併し、致命率は約30%に達する。
ポイント
  • 急性膵炎重症例の低カルシウム血症は、脂肪壊死によるカルシウム消費が原因であり、重症度判定の指標となる
  • 疼痛軽減姿勢は「座位前屈位」であり「起坐位」ではない(起坐位は心不全の呼吸困難軽減)
  • 重症急性膵炎ではDIC・多臓器不全を合併し、致命率は約30%に達する
  • 治療は絶飲食+補液+プロテアーゼ阻害薬(FOY、フサン)が基本である
  • 重要用語: 低カルシウム血症, 脂肪壊死, 座位前屈位, 重症急性膵炎 を正確に理解しておくこと。
比較表
急性膵炎の重症合併症 機序 臨床的意義
低カルシウム血症 脂肪壊死によるCa消費 重症度判定指標、テタニー
DIC 膵酵素による凝固異常 出血傾向、多臓器障害
多臓器不全 全身性炎症反応 致命率約30%
仮性嚢胞 膵液の被包化 後遺症として残存
解説画像
あマ指 第22回(2014) 問題70|急性膵炎について正しいのはどれか。 解説図
あマ指 第22回(2014) 問題70|急性膵炎について正しいのはどれか。
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