学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ A. 肝臓疾患 / Q0213

理由で解く 臨床医学各論

Q0213 肝・胆・膵疾患

出典:鍼灸 第28回(2020) 問題75
問題
「35歳の女性看護師。皮膚の黄染、全身倦怠感にて受診。針刺しの既往がある。肝炎ウイルスマーカーでは、HCV抗体陽性、HCV-RNA陽性で、他は陰性であった。」本疾患について正しいのはどれか。
選択肢
1 生ガキの摂取で起こる。
2 慢性化の頻度が高い。
3 劇症肝炎へ進展しやすい。
4 ワクチン予防が可能である。
解答
正解2(慢性化の頻度が高い。)
解説
✗ 1. 誤り
生ガキの摂取で起こる。
生ガキの摂取で起こるのはA型肝炎(経口感染)である。 C型肝炎は血液感染であり、本症例では針刺し事故による感染が原因と考えられる。 A型肝炎はHAVが二枚貝に濃縮されるため生ガキが主な感染源となるが、C型とは感染経路が根本的に異なる。
✓ 2. 正しい
慢性化の頻度が高い。
C型肝炎は慢性化の頻度が極めて高く、感染者の60〜70%が慢性化する。 慢性C型肝炎は肝硬変を経て肝細胞癌へ進展するリスクがある(10〜20年で肝硬変に移行)。 本症例はHCV抗体陽性・HCV-RNA陽性であり、現在のC型肝炎ウイルス感染状態を示している。 現在はDAA(直接作用型抗ウイルス薬)によりSVR(持続的ウイルス陰性化)率95%以上が達成可能である。
✗ 3. 誤り
劇症肝炎へ進展しやすい。
C型肝炎の劇症化はまれである。 劇症肝炎へ進展しやすいのはB型肝炎(特にHBe抗原非産生変異株)やA型肝炎(高齢者)である。 C型は「慢性化しやすいが劇症化しにくい」という特徴を押さえておくこと。
✗ 4. 誤り
ワクチン予防が可能である。
C型肝炎ウイルスに対する有効なワクチンは現在も開発されていない。 ワクチン予防が可能なのはA型肝炎(HAワクチン)とB型肝炎(HBワクチン)である。 HCVは遺伝子変異が多く、ワクチン開発が困難とされている。
ポイント
  • C型肝炎は血液感染により伝播し、慢性化率が60〜70%と高いのが最大の特徴である。HCV抗体陽性+HCV-RNA陽性は現在のC型肝炎ウイルス感染を示す。
  • C型肝炎は「劇症化まれ・ワクチンなし・慢性化率高い」という3点をセットで覚えること。慢性化しやすい(C型)と劇症化しやすい(B型)を混同しないこと。
  • 針刺し事故は医療従事者のC型肝炎感染の重要な原因であり、事故後はHCV抗体・HCV-RNAの経過観察が必要である。
  • 重要用語: C型肝炎, 慢性化率60〜70%, HCV-RNA, 針刺し事故 を正確に理解しておくこと。
比較表
特徴 A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎
感染経路 経口(生ガキ等) 血液・性行為・母子 血液(針刺し等)
慢性化 なし あり(乳幼児期に多い) 60〜70%(最も高い)
劇症化 まれ(高齢者注意) あり(変異株で多い) まれ
ワクチン あり(HAワクチン) あり(HBワクチン) なし
解説画像
鍼灸 第28回(2020) 問題75|「35歳の女性看護師。皮膚の黄染、全身倦怠感にて受診。針刺しの既往がある。肝炎ウイルスマーカーでは、HCV抗体陽性、HCV-RNA陽性で、他は陰性であった。」本疾患について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第28回(2020) 問題75|「35歳の女性看護師。皮膚の黄染、全身倦怠感にて受診。針刺しの既往がある。肝炎ウイルスマーカーでは、HCV抗体陽性、HCV-RNA陽性で、他は陰性であった。」本疾患について正しいのはどれか。
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