学習トップ理由で解く 臨床医学各論第3章 ▸ A. 肝臓疾患 / Q0206

理由で解く 臨床医学各論

Q0206 肝・胆・膵疾患

出典:鍼灸 第24回(2016) 問題79
問題
「50歳の男性。大酒家である。軽度の意識障害で受診した。眼球の黄染、胸部のクモ状血管拡張と著明な腹水がみられた。また、上肢の不規則な運動が認められた。」本症例でみられる上肢の所見はどれか。
選択肢
1 けいれん
2 バリスム
3 アテトーゼ
4 振戦
解答
正解4(振戦)
解説
✗ 1. 誤り
けいれん
けいれんはてんかんなどの脳の異常興奮による不随意運動であり、肝性脳症の特徴的所見ではない。肝性脳症の重度例でけいれんが出ることもあるが、本症例で問われる「上肢の不規則な運動」はけいれんではない。
✗ 2. 誤り
バリスム
バリスムは視床下核の障害により生じる粗大な四肢の投げ出し運動である。脳血管障害で視床下核が損傷された場合にみられる不随意運動であり、肝硬変の肝性脳症とは無関係である。片側性の場合はヘミバリスムと呼ぶ。
✗ 3. 誤り
アテトーゼ
アテトーゼは大脳基底核(被殻・尾状核)障害による緩徐なくねるような不随意運動である。脳性麻痺などでみられる運動障害であり、肝性脳症の所見ではない。手指や手首がゆっくりと蛇のようにくねる動きが特徴である。
✓ 4. 正しい
振戦
本症例は大酒家で黄疸・クモ状血管拡張・腹水・意識障害を呈しており、アルコール性肝硬変の非代償期と考えられる。上肢の不規則な運動は羽ばたき振戦(フラッピング振戦)であり、肝性脳症の代表的所見である。両上肢を前方に伸展し手関節を背屈させると、手首がパタパタと不規則に動く。
ポイント
  • 大酒家の意識障害・黄疸・クモ状血管拡張・腹水はアルコール性肝硬変の非代償期を示唆する
  • 羽ばたき振戦は肝性脳症の初期〜中等度で出現し、血中アンモニア値の上昇と関連する
  • 羽ばたき振戦は肝性脳症のほか、CO2ナルコーシスや尿毒症でもみられることがある
  • 重要用語: 羽ばたき振戦(フラッピング振戦)、肝性脳症、血中アンモニア を正確に理解しておくこと。
比較表
不随意運動 原因・病変部位 運動の特徴
羽ばたき振戦 肝性脳症(アンモニア↑) 手関節の不規則なパタパタ運動
バリスム 視床下核障害 粗大な投げ出し運動
アテトーゼ 大脳基底核障害 緩徐なくねる運動
けいれん てんかんなど 筋の急速な収縮・弛緩
解説画像
鍼灸 第24回(2016) 問題79|「50歳の男性。大酒家である。軽度の意識障害で受診した。眼球の黄染、胸部のクモ状血管拡張と著明な腹水がみられた。また、上肢の不規則な運動が認められた。」本症例でみられる上肢の所見はどれか。 解説図
鍼灸 第24回(2016) 問題79|「50歳の男性。大酒家である。軽度の意識障害で受診した。眼球の黄染、胸部のクモ状血管拡張と著明な腹水がみられた。また、上肢の不規則な運動が認められた。」本症例でみられる上肢の所見はどれか。
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