学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ I. その他の整形外科疾患 / Q0874

理由で解く 臨床医学各論

Q0874 整形外科疾患

出典:鍼灸 第24回(2016) 問題78
問題
「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」本症例で治療対象となる筋はどれか。
選択肢
1 小胸筋
2 斜角筋
3 胸鎖乳突筋
4 肩甲挙筋
解答
正解2(斜角筋)
解説
✗ 1. 誤り
小胸筋
小胸筋は胸郭出口症候群のうち過外転症候群(小胸筋症候群)の原因筋であり、ライトテスト(過外転テスト)で陽性となる。本症例ではアドソンテストが陽性であり、これは前斜角筋による圧迫を示す検査であるため、小胸筋ではなく斜角筋が治療の対象となる。
✓ 2. 正しい
斜角筋
アドソンテスト陽性は、前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋間隙)で腕神経叢と鎖骨下動脈が圧迫されている状態を示唆する。アドソンテストでは頭部を患側に回旋させて深呼吸させることで前斜角筋を緊張させ、橈骨動脈の拍動の減弱や症状の再現を確認する。モーレイテスト(鎖骨上窩の圧迫)の陽性も斜角筋間隙での圧迫と矛盾しない。治療は斜角筋(前斜角筋・中斜角筋)のストレッチや筋緊張の緩和が中心となる。
✗ 3. 誤り
胸鎖乳突筋
胸鎖乳突筋は頸部の回旋および屈曲に関与する筋であり、胸郭出口症候群において腕神経叢を直接圧迫する筋ではない。胸鎖乳突筋の過緊張は頸部痛や緊張型頭痛の原因となることはあるが、本症例の斜角筋間隙での圧迫病態とは直接関係しない。
✗ 4. 誤り
肩甲挙筋
肩甲挙筋は肩甲骨の挙上に関与する筋であり、肩こりの原因筋として知られるが、胸郭出口症候群の直接的な圧迫要因とはならない。なで肩の改善に僧帽筋や肩甲挙筋の強化訓練は補助的に有効であるが、主たる治療対象筋ではない。
ポイント
  • アドソンテスト陽性は斜角筋間隙での圧迫を意味し、治療対象は前斜角筋・中斜角筋となる
  • 胸郭出口症候群は圧迫部位によって3つの病型に分類され、それぞれ対応する検査法と原因構造が異なる
  • 小胸筋が原因筋となるのは過外転症候群であり、ライトテストで評価する
  • 重要用語: 斜角筋症候群, アドソンテスト, ライトテスト, エデンテスト, 前斜角筋 を正確に理解しておくこと。
比較表
胸郭出口症候群の病型 圧迫部位 原因筋 陽性テスト
斜角筋症候群 斜角筋間隙 前・中斜角筋 アドソンテスト
肋鎖症候群 鎖骨と第1肋骨の間 エデンテスト
過外転症候群 小胸筋後方 小胸筋 ライトテスト
解説画像
鍼灸 第24回(2016) 問題78|「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」本症例で治療対象となる筋はどれか。 解説図
鍼灸 第24回(2016) 問題78|「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」本症例で治療対象となる筋はどれか。
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