学習トップ理由で解く 臨床医学各論第8章 ▸ I. その他の整形外科疾患 / Q0873

理由で解く 臨床医学各論

Q0873 整形外科疾患

出典:鍼灸 第24回(2016) 問題77
問題
「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」最も考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 変形性頸椎症
2 頸椎椎間板ヘルニア
3 頸椎捻挫
4 胸郭出口症候群
解答
正解4(胸郭出口症候群)
解説
✗ 1. 誤り
変形性頸椎症
変形性頸椎症は50歳以上の中高年に好発する退行変性疾患であり、28歳の若年女性には考えにくい。症状はスパーリングテストやジャクソンテストで神経根圧迫を確認するが、モーレイテストやアドソンテストが陽性になることは特徴的でなく、上肢下垂時の増悪という所見とも矛盾する。
✗ 2. 誤り
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎椎間板ヘルニアは20〜40代の男性に好発し、スパーリングテストやジャクソンテストが陽性となる。上肢下垂時の増悪やアドソンテスト陽性は頸椎椎間板ヘルニアの典型所見ではなく、頸椎レベルの神経根圧迫では腕神経叢よりも高位での障害を示すため、胸郭出口症候群との鑑別が必要である。
✗ 3. 誤り
頸椎捻挫
頸椎捻挫は外傷(追突事故など)を契機に発症する疾患である。本症例では外傷の既往が記載されておらず、慢性的な上肢症状を呈している。また、モーレイテストやアドソンテストは頸椎捻挫の検査法ではなく、胸郭出口症候群に特異的な検査である。
✓ 4. 正しい
胸郭出口症候群
胸郭出口症候群は、腕神経叢と鎖骨下動脈・静脈が前斜角筋・中斜角筋の間(斜角筋間隙)、鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)、小胸筋の後方のいずれかで圧迫されて上肢の痛み・しびれ・だるさを生じる疾患群である。28歳女性、なで肩体型(首が長く姿勢が悪い)、上肢下垂時の増悪は本疾患を強く示唆する。モーレイテスト(鎖骨上窩の圧迫で上肢症状を再現)とアドソンテスト(頭部を患側に回旋し深呼吸させて橈骨動脈の減弱を確認)の陽性から、斜角筋症候群タイプの胸郭出口症候群と診断できる。
ポイント
  • 胸郭出口症候群は若年のなで肩女性に好発し、上肢の痛み・しびれ・だるさを呈する
  • アドソンテスト陽性は斜角筋間隙での腕神経叢・鎖骨下動脈の圧迫を示唆する
  • 上肢下垂時に症状が増悪する点が頸椎疾患との重要な鑑別点である
  • 重要用語: 胸郭出口症候群, モーレイテスト, アドソンテスト, 斜角筋間隙, なで肩 を正確に理解しておくこと。
比較表
胸郭出口症候群の病型 圧迫部位 原因構造 陽性テスト
斜角筋症候群 斜角筋間隙 前・中斜角筋 アドソンテスト
肋鎖症候群 鎖骨と第1肋骨の間 鎖骨・第1肋骨 エデンテスト
過外転症候群 小胸筋後方 小胸筋 ライトテスト
解説画像
鍼灸 第24回(2016) 問題77|「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」最も考えられる疾患はどれか。 解説図
鍼灸 第24回(2016) 問題77|「28歳の女性。上肢の痛み、だるさ、しびれを訴える。上肢下垂時に症状が増悪する。首が長く、姿勢が悪い。モーレイテスト、アドソンテスト陽性。」最も考えられる疾患はどれか。
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