学習トップ理由で解く 臨床医学各論第1章 ▸ B. 細菌感染症 / Q0015

理由で解く 臨床医学各論

Q0015 感染症

出典:鍼灸 第3回(1995) 問題87
問題
創傷感染症について正しい記述はどれか。
選択肢
1 せつ、ようの原因は連鎖球菌が多い。
2 ひょう疽は四肢の慢性炎症をいう。
3 蜂巣織炎とは筋肉の感染症である。
4 破傷風菌の毒素は中枢神経を障害する。
解答
正解4(破傷風菌の毒素は中枢神経を障害する)
解説
✗ 1. 誤り
せつ、ようの原因は連鎖球菌が多い。
せつ(癤)・よう(癰)の原因菌は黄色ブドウ球菌が最も多く、連鎖球菌ではない。せつは1個の毛包とその周囲組織の化膿性炎症で、癰は複数のせつが融合して深部に及んだ重症型である。ブドウ球菌による毛包を中心とした感染症である。
✗ 2. 誤り
ひょう疽は四肢の慢性炎症をいう。
ひょう疽(瘭疽)は指先・爪周囲の急性化膿性炎症であり、四肢の慢性炎症ではない。爪周囲の小外傷から黄色ブドウ球菌が侵入し、発赤・腫脹・激しい疼痛・膿瘍形成を起こす急性疾患である。
✗ 3. 誤り
蜂巣織炎とは筋肉の感染症である。
蜂巣織炎(蜂窩織炎)は皮下組織のびまん性細菌感染症であり、筋肉の感染症ではない。真皮から皮下脂肪組織にかけての急性化膿性炎症で、黄色ブドウ球菌やA群β溶血性連鎖球菌が原因菌となる。境界不明瞭な発赤・腫脹・熱感・疼痛を呈する。
✓ 4. 正しい
破傷風菌の毒素は中枢神経を障害する。
破傷風菌はテタノスパスミンという外毒素を産生し、これが神経行性に中枢神経系(脊髄)に到達して障害する。テタノスパスミンは脊髄前角の抑制性介在ニューロン(レンショウ細胞)を障害し、γ運動ニューロンの抑制が解除されることで、痙性麻痺・開口障害(牙関緊急)・顔面筋の痙攣(痙笑)・全身の強直性痙攣(後弓反張)を引き起こす。中枢神経系に作用する強力な神経毒である。
ポイント
  • 破傷風菌の外毒素(テタノスパスミン)は中枢神経系を障害し、抑制性神経伝達を阻害する
  • せつ・癰の原因菌はブドウ球菌(連鎖球菌ではない)
  • ひょう疽は指先の急性化膿性炎症(四肢の慢性炎症ではない)
  • 蜂巣織炎は皮下組織のびまん性感染(筋肉ではない)
  • 重要用語: 破傷風、テタノスパスミン、中枢神経障害、ブドウ球菌、蜂窩織炎 を正確に理解しておくこと。
比較表
疾患 原因菌 病変部位 特徴
せつ(癤) 黄色ブドウ球菌 1個の毛包 限局性膿瘍
よう(癰) 黄色ブドウ球菌 複数毛包 せつの集簇、深部感染
ひょう疽(瘭疽) 黄色ブドウ球菌 指先・爪周囲 急性、激しい疼痛
蜂巣織炎(蜂窩織炎) ブドウ球菌、連鎖球菌 皮下組織 びまん性、境界不明瞭
破傷風 破傷風菌 創傷(外毒素で中枢神経障害) 痙性麻痺、牙関緊急
解説画像
鍼灸 第3回(1995) 問題87|創傷感染症について正しい記述はどれか。 解説図
鍼灸 第3回(1995) 問題87|創傷感染症について正しい記述はどれか。
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