学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP61A004

理由で解く 理学療法士

QP61A004 理学療法評価学

出典:第61回理学療法士国家試験(2026)午前 問4
問題
70歳の男性。右利き。右脳出血による左片麻痺。発症後2週。運動麻痺は左上下肢とも Brunnstrom 法ステージIII、感覚障害は中等度。座位では、右上下肢で座面や床面を押し、図のような姿勢となる。転倒の危険があり、理学療法士が正中位に修正を試みるが抵抗する。平行棒内立位でも同様に右上下肢で押すため身体は左に傾斜し、立位保持要介助である。
理学療法を行う上で最も優先する検査はどれか。
図
選択肢
1 SCP
2 SLTA
3 TMT
4 WAIS-Ⅳ
5 WCST
解答
正解1(SCP)
解説

非麻痺側で座面・床面を押して麻痺側へ倒れる所見はPusher現象(contraversive pushing)であり、SCP(Scale for Contraversive Pushing)で評価する。

本症例は右脳出血による左片麻痺で、非麻痺側(右)上下肢で座面や床面を押し、正中位への修正に抵抗して身体が左(麻痺側)へ傾く。これは典型的なPusher現象(押し症候群)であり、姿勢・移乗・立位の安全に直結するため、理学療法上まず評価すべき対象である。SCPは座位・立位での姿勢、押しの強さ、修正への抵抗を定量化する専用スケールで、本症例に最も優先される。

✓ 1. 正しい
SCP
Scale for Contraversive Pushing。Pusher現象の重症度を評価する専用スケールで、本症例の姿勢異常の評価に最も適する
✗ 2. 誤り
SLTA
標準失語症検査。右利き・右半球損傷では失語は通常生じにくく、優先度は低い
✗ 3. 誤り
TMT
Trail Making Test。注意・処理速度・遂行機能の検査で、本症例の主問題であるPusher現象を評価できない
✗ 4. 誤り
WAIS-Ⅳ
成人知能検査。全般的知能の評価であり、急性期の姿勢異常評価の優先事項ではない
✗ 5. 誤り
WCST
Wisconsin Card Sorting Test。前頭葉機能・遂行機能の検査でPusher現象の評価には不適
ポイント
  • 非麻痺側で押し麻痺側へ倒れる=Pusher現象
  • SCP=Pusher現象の評価スケール
  • 右半球損傷では失語より半側空間無視・Pusherに注目
比較表
選択肢の各検査が評価する対象
略語検査名評価対象
SCPScale for Contraversive PushingPusher現象(押し症候群)
SLTA標準失語症検査失語症
TMTTrail Making Test注意・遂行機能
WAIS-IVウェクスラー成人知能検査知能
WCSTWisconsin Card Sorting Test前頭葉・遂行機能
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