学習トップ理由で解く 理学療法士第11章 ▸ 実地 / QP60P015

理由で解く 理学療法士

QP60P015 理学療法評価学

出典:第60回理学療法士国家試験(2025)午後 問15
問題
25歳の女性。1か月ほど前から熱いラーメンを吹いて冷ましていると右の手足に力が入らなくなる症状が数分続くことがあったが、その後回復したため様子を見ていた。数日前にも同様の症状があり、心配になり病院を受診した。既往歴に特記すべきことはない。脳血管造影検査の正面像および側面像を図に示す。この患者で疑う疾患はどれか。
図
選択肢
1 脳炎
2 脳腫瘍
3 もやもや病
4 硬膜動静脈瘻
5 アテローム性脳梗塞
解答
正解3(もやもや病)
解説

頭蓋底に煙状の網状異常血管(puff of smoke)を示す脳血管造影+過換気で誘発される若年女性の一過性片麻痺=もやもや病。

脳血管造影の正面像・側面像は、いずれも頭蓋底付近に細い異常血管が雲状・煙状に密集する網目状構造を示している。これは内頸動脈終末部(前・中大脳動脈起始部)の進行性狭窄・閉塞に対し、側副血行路として異常拡張した穿通枝が発達したもので、たばこの煙が立ち上るように見えることから『puff of smoke=もやもや血管』と呼ばれる、もやもや病に特徴的な所見である。臨床像も合致し、25歳の若年女性、既往なし、そして『熱いラーメンを吹いて冷ます』=過換気により動脈血二酸化炭素分圧が低下し脳血管が収縮、脳血流が減少して一過性に右片麻痺を生じ数分で回復する、という誘発性・可逆性の一過性脳虚血発作は、小児・若年のもやもや病で典型的に見られる。したがって疑う疾患はもやもや病(選択肢3)である。なお画像下段の心電図は別問題(P問題20)の図であり本問とは無関係。

✗ 1. 誤り
脳炎
発熱・意識障害・髄膜刺激症状などを主体とし、脳血管造影で頭蓋底の網状異常血管を呈さない。本画像所見と合致しない
✗ 2. 誤り
脳腫瘍
腫瘍濃染や占拠性病変・不整な腫瘍血管を示すが、本画像は左右・頭蓋底に広がる細い網状血管であり腫瘍所見ではない
✓ 3. 正しい
もやもや病
正面像・側面像とも内頸動脈終末部付近の閉塞・狭窄に伴う側副路として、細い異常血管が煙状に密集する『puff of smoke(もやもや血管)』を明瞭に描出。若年女性で、熱いものを吹いて冷ます(過換気→低二酸化炭素血症→脳血管収縮)際に生じる一過性の片麻痺という誘発様式も典型的
✗ 4. 誤り
硬膜動静脈瘻
動静脈シャントによる造影早期の静脈描出、拡張した硬膜動脈枝や逆流性導出静脈が特徴。本画像の網状もやもや血管とは所見が異なる
✗ 5. 誤り
アテローム性脳梗塞
粥状硬化による限局性の主幹動脈狭窄を呈するが、25歳・既往なし・危険因子なしの若年発症とは合致せず、本画像の広汎な網状血管とも異なる
ポイント
  • 過換気(吹く・啼泣・笛)で誘発されるTIA=もやもや病を疑う
  • 造影:内頸動脈終末部狭窄+もやもや血管(側副血行)
  • 小児は虚血、成人は出血で発症しやすい二峰性
比較表
反復する神経症状の鑑別ポイント
疾患特徴的所見
もやもや病過換気誘発TIA・造影で異常血管網
脳腫瘍進行性・持続性の巣症状
硬膜動静脈瘻拍動性耳鳴・眼症状・出血
アテローム性梗塞高齢・動脈硬化・持続する巣症状
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