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理由で解く 理学療法士

QP57P044 理学療法治療学

出典:第57回理学療法士国家試験(2022)午後 問44
問題
重症筋無力症で正しいのはどれか。
選択肢
1 過用に注意して運動は漸増負荷とする。
2 日内変動として午前中に症状が悪化する。
3 低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
4 運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
5 クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
解答
正解1(過用に注意して運動は漸増負荷とする。)
解説

重症筋無力症は易疲労性が特徴。過用性筋力低下を避けるため運動は低負荷から慎重に漸増する。神経筋接合部の後シナプス膜(AChレセプター抗体)が障害される。

重症筋無力症は神経筋接合部の後シナプス膜にあるアセチルコリン受容体に対する自己抗体により、反復刺激で伝達効率が低下する疾患である。臨床的特徴は易疲労性と日内変動で、活動を続けるほど筋力が低下し、症状は朝は軽く夕方に悪化する。したがって理学療法では過用性筋力低下(オーバーワーク)を避け、運動は低負荷から慎重に漸増するのが原則で選択肢1が正しい。反復神経刺激では活動電位の振幅が漸減するwaning(漸減)現象を示す(waxing=漸増現象はLambert-Eaton筋無力症候群)。アセチルコリンの放出(前シナプス側)障害もLambert-Eatonの機序であり本症とは異なる。筋無力症クリーゼでの呼吸障害は呼吸筋麻痺による拘束性換気障害である。

✓ 1. 正しい
過用に注意して運動は漸増負荷とする。
易疲労性のため過用を避け低負荷から漸増するのが原則(正しい=正解)
✗ 2. 誤り
日内変動として午前中に症状が悪化する。
日内変動は朝軽く夕方に悪化する(誤り)
✗ 3. 誤り
低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
本症は漸減(waning)現象、waxingはLambert-Eaton(誤り)
✗ 4. 誤り
運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
前シナプス障害はLambert-Eaton、本症は後シナプスのAChレセプター抗体(誤り)
✗ 5. 誤り
クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性換気障害で起こる。
呼吸筋麻痺による拘束性換気障害である(誤り)
ポイント
  • 後シナプス膜のACh受容体抗体、易疲労性・日内変動(夕方悪化)
  • 反復刺激でwaning(漸減)現象
  • 運動は過用を避け低負荷から漸増、クリーゼは拘束性換気障害
比較表
重症筋無力症とLambert-Eaton症候群の鑑別
項目重症筋無力症Lambert-Eaton
障害部位後シナプス(ACh受容体抗体)前シナプス(ACh放出低下)
反復刺激所見waning(漸減)waxing(漸増・運動後増強)
症状変動夕方に悪化運動後に一時的に改善
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