学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP56P014

理由で解く 理学療法士

QP56P014 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問14
問題
87歳の女性。転倒して左股関節痛を訴え、入院となった。受傷後2日目に後方侵入法で手術を受けた。術後のエックス線写真を図に示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 臥床時には股関節を内転位に保つ。
2 靴下の着脱は股関節外旋位で行う。
3 術後1週から大腿四頭筋セッティングを開始する。
4 術後2週から中殿筋の筋力トレーニングを開始する。
5 術後3か月は免荷とする。
解答
正解2(靴下の着脱は股関節外旋位で行う。)
解説

後方進入法の人工股関節術後は「屈曲+内転+内旋」を避け、靴下着脱など前屈動作は股関節外旋位で行う。

X線骨盤正面像では、左股関節(「左」表示側)に人工股関節が挿入され、金属の大腿骨頭ボールと髄内ステムが確認できる。右股関節は正常な自家骨。設問の「後方侵入法(後方進入法)」で人工股関節を行った場合、術後の脱臼危険肢位は「屈曲+内転+内旋」の組み合わせである。靴下の着脱は股関節を深く屈曲させる動作を伴うため、この際に内旋が加わると脱臼リスクが高まる。したがって股関節を外旋位に保って行えば内旋を避けられ安全であり、選択肢2が正しい。他の選択肢は、内転位保持(1)は脱臼肢位で誤り、四頭筋セッティング(3)や中殿筋筋力トレーニング(4)は術後早期から開始可能で開始時期が遅すぎ、3か月免荷(5)は人工股関節では早期荷重が原則のため不要である。

✗ 1. 誤り
臥床時には股関節を内転位に保つ。
後方進入法では屈曲・内転・内旋が脱臼危険肢位。内転位に保つと脱臼を招くため誤り。外転枕で外転位に保つのが正しい
✓ 2. 正しい
靴下の着脱は股関節外旋位で行う。
後方進入法後の脱臼危険肢位は屈曲+内転+内旋。前屈を伴う靴下着脱を外旋位で行えば内旋を避けられ脱臼予防になる
✗ 3. 誤り
術後1週から大腿四頭筋セッティングを開始する。
等尺性の四頭筋セッティングは関節を動かさず術翌日から開始できる。1週開始は遅すぎ誤り
✗ 4. 誤り
術後2週から中殿筋の筋力トレーニングを開始する。
中殿筋強化も早期から段階的に開始でき、2週まで待つ必要はなく誤り
✗ 5. 誤り
術後3か月は免荷とする。
画像のように大腿骨ステムが安定挿入された人工股関節では早期荷重が原則で、3か月免荷は不要
ポイント
  • 後方侵入法の脱臼肢位=屈曲・内転・内旋
  • 動作は外転・外旋位で誘導
  • 人工骨頭置換は早期荷重・早期筋トレが原則
比較表
股関節手術侵入法と脱臼肢位
侵入法脱臼を生じやすい肢位
後方侵入法屈曲・内転・内旋
前方/前側方侵入法伸展・内転・外旋
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