学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP56P012

理由で解く 理学療法士

QP56P012 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問12
問題
運動失調が認められる患者に対し、体幹回旋筋の同時収縮による座位姿勢安定性向上を目的として、図に示す運動を行った。この運動はどれか。
図
選択肢
1 コントラクト・リラックス〈contract-relax〉
2 スローリバーサル
3 ホールド・リラックス
4 リズミック・スタビリゼーション
5 リピーテッドコントラクション〈repeated contraction〉
解答
正解4(リズミック・スタビリゼーション)
解説

リズミック・スタビリゼーションは、主動作筋と拮抗筋へ交互に等尺性抵抗を加えて同時収縮を促し、運動を起こさせずに(座位など)姿勢の安定性を高めるPNF手技である。

図は、端座位の患者の背後に立った理学療法士が、患者の前面(胸鎖関節付近)と後面(肩甲帯)に手を当て、体幹回旋に対して抵抗を加えている場面を左右2コマで示している。2コマの間の双方向矢印(⟷)と図下の凡例「←:理学療法士が抵抗を加える方向」から、セラピストは回旋抵抗を左右交互に切り替えて加えており、患者は座位姿勢を保持したまま(運動を起こさない=等尺性)であることが読み取れる。主動作筋と拮抗筋の双方へ交互に等尺性抵抗を与えると、体幹回旋筋の同時収縮(co-contraction)が誘導され、座位姿勢の安定性が向上する。これはPNFのリズミック・スタビリゼーションの定義そのものである。鑑別のポイントは「等尺性・運動を伴わない・同時収縮による安定化」であること。スローリバーサルやリピーテッドコントラクションは可動域内を動く動的手技、コントラクト・リラックスとホールド・リラックスは可動域拡大(弛緩)目的の手技であり、いずれも本図の目的・方法と合致しない。したがって公式正答[4]と整合する。

✗ 1. 誤り
コントラクト・リラックス〈contract-relax〉
可動域拡大目的で、短縮筋を等尺性収縮後に弛緩させ新たな範囲へ動かすPNF手技。図の交互抵抗・同時収縮による安定化とは目的も方法も異なる
✗ 2. 誤り
スローリバーサル
主動作筋と拮抗筋の等張性(動的)収縮を可動域全体で交互に行う手技で、体幹が範囲を通って動く。図は座位保持のまま大きな移動がなく合致しない
✗ 3. 誤り
ホールド・リラックス
短縮筋を等尺性収縮後に弛緩させ可動域を拡大する手技。安定性向上・同時収縮を狙う図の内容と一致しない
✓ 4. 正しい
リズミック・スタビリゼーション
主動作筋と拮抗筋へ交互に等尺性抵抗を与え、運動を起こさせずに同時収縮を促して安定性を高めるPNF手技。図の双方向矢印(交互の抵抗方向)・凡例『抵抗を加える方向』・座位保持のまま体幹回旋筋へ抵抗を当てる描写と完全に一致する
✗ 5. 誤り
リピーテッドコントラクション〈repeated contraction〉
リピーテッドコントラクション〈repeated contraction〉:伸張刺激を加えながら弱化筋の等張性収縮を反復し運動範囲で筋出力を高める手技で、運動を伴う。安定性目的の等尺性同時収縮を示す図と異なる
ポイント
  • リズミック・スタビリゼーション=等尺性同時収縮による安定化
  • 運動失調の体幹安定性向上に適応
  • 同時収縮(co-contraction)がキーワード
比較表
主なPNF手技と目的
手技主目的
リズミック・スタビリゼーション等尺性同時収縮による安定化
ホールド・リラックスROM拡大(弛緩系)
コントラクト・リラックスROM拡大(弛緩系)
スローリバーサル運動の促通・筋力増強
リピーテッドコントラクション弱化筋の反復収縮による促通
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