学習トップ理由で解く 理学療法士第12章 ▸ 実地 / QP56P015

理由で解く 理学療法士

QP56P015 理学療法治療学

出典:第56回理学療法士国家試験(2021)午後 問15
問題
32歳の男性。筋強直性ジストロフィー。手指を強く握ると筋強直のために開くのに時間がかかる。側頭部と頰部の筋萎縮と閉口障害を認める。筋力はMMTで頸部2、肩関節周囲2、肘関節周囲2、手指3、股関節周囲2、膝関節周囲2、足関節周囲1で、立位になればかろうじて短距離歩行可能である。労作時に動悸や呼吸苦の自覚はなく、SpO2の低下を認めない。正しいのはどれか。
選択肢
1 ROM運動は筋強直に抵抗して行う。
2 食事は咀嚼回数を減らす形態にする。
3 等尺性収縮による筋力増強は行わない。
4 アンビューバックを活用した呼吸練習を行う。
5 下肢装着型の補助ロボット導入は有効でない。
解答
正解2(食事は咀嚼回数を減らす形態にする。)
解説

顔面・咀嚼筋障害と嚥下障害があり、咀嚼負担を減らした食形態への調整が適切。

筋強直性ジストロフィーは把握筋強直(強く握ると開きにくい)や叩打誘発性ミオトニアに加え、側頭筋・咬筋・顔面筋の萎縮による咀嚼・閉口障害、嚥下障害を高頻度に伴う。本症例も側頭部・頰部の筋萎縮と閉口障害があるため、咀嚼回数を減らせる軟らかい食形態への調整が誤嚥・疲労予防に有効である。ミオトニアに抵抗して他動的に無理な運動を行うのは不適切で、進行性筋疾患では過用性筋力低下を避けつつ低〜中強度の運動を用い、有効な支援機器は積極的に検討する。呼吸機能は現時点で保たれており、バッグ換気の呼吸練習を要する段階ではない。

✗ 1. 誤り
ROM運動は筋強直に抵抗して行う。
ミオトニアに抗して無理に動かすのは不適切
✓ 2. 正しい
食事は咀嚼回数を減らす形態にする。
咀嚼・閉口・嚥下障害に配慮した適切な対応
✗ 3. 誤り
等尺性収縮による筋力増強は行わない。
過用に注意しつつ低〜中強度の運動は有用で、一律に禁止しない
✗ 4. 誤り
アンビューバックを活用した呼吸練習を行う。
動悸・呼吸苦なくSpO2も正常で、現時点では不要
✗ 5. 誤り
下肢装着型の補助ロボット導入は有効でない。
歩行・移動支援に有用となり得るため一概に無効とは言えない
ポイント
  • 筋強直性ジストロフィー=把握ミオトニア+顔面・咀嚼筋萎縮
  • 嚥下・咀嚼障害に食形態調整
  • 進行性筋疾患は過用性筋力低下に注意
比較表
筋強直性ジストロフィーの特徴的所見
所見内容
把握ミオトニア強く握ると開きにくい
顔面・側頭筋萎縮斧様顔貌・閉口障害
合併症嚥下障害・心伝導障害・耐糖能異常など
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