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理由で解く 理学療法士

QP53A038 理学療法治療学

出典:第53回理学療法士国家試験(2018)午前 問38
問題
寒冷療法が痙縮を低下させる機序はどれか。
選択肢
1 筋組織の代謝の増大
2 毛細血管透過性の増大
3 γ神経線維の伝導速度の低下
4 δ神経線維の伝導速度の低下
5 筋紡錘からの求心性放電の増大
解答
正解3(γ神経線維の伝導速度の低下)
解説

寒冷はγ神経線維の伝導を落として筋紡錘の感度を下げ、伸張反射の亢進を抑えることで痙縮を軽減する。

痙縮は伸張反射が亢進して生じる速度依存性の筋緊張亢進である。筋紡錘の錘内筋線維はγ神経線維(γ運動線維)に支配されており、その活動が高いほど紡錘の感度が上がってIa群線維の放電が増える。寒冷を加えると神経の伝導速度が低下し、なかでもγ神経線維の活動が落ちることで筋紡錘の感受性が下がる。その結果Ia群求心性線維からの放電が減り、伸張反射ループの興奮が下がって痙縮が軽減する。寒冷は組織代謝を低下させるため「筋組織の代謝の増大」は誤りである。また血管を収縮させて毛細血管透過性も低下させるので「毛細血管透過性の増大」も誤りである。δ神経線維は鋭い痛みや冷覚を伝える細い有髄の求心性線維であり、その伝導速度低下は鎮痛には結びつくが、筋紡錘の感度を介した痙縮の軽減の機序ではない。筋紡錘からの求心性放電が増えれば伸張反射はかえって亢進し、痙縮は増悪する。

✗ 1. 誤り
筋組織の代謝の増大
寒冷は組織代謝を低下させる。増大とするのは誤り
✗ 2. 誤り
毛細血管透過性の増大
寒冷は血管を収縮させ毛細血管透過性を低下させる。腫脹の抑制に働く
✓ 3. 正しい
γ神経線維の伝導速度の低下
筋紡錘の感度が下がりIa放電が減って伸張反射が抑えられる。これが痙縮軽減の機序
✗ 4. 誤り
δ神経線維の伝導速度の低下
δ神経線維は痛覚・冷覚を伝える求心性線維。鎮痛には働くが痙縮軽減の機序ではない
✗ 5. 誤り
筋紡錘からの求心性放電の増大
求心性放電が増えれば伸張反射は亢進し、痙縮はむしろ強まる
ポイント
  • 痙縮=伸張反射亢進(速度依存性)
  • 寒冷→γ運動線維抑制→筋紡錘感度低下
  • Ia求心性放電の減少で反射抑制
  • 寒冷は代謝低下・血管収縮・透過性低下
比較表
寒冷療法の生理学的作用
対象寒冷による変化臨床効果
γ運動線維伝導速度低下痙縮軽減
組織代謝低下二次的組織障害の抑制
毛細血管収縮・透過性低下浮腫・炎症抑制
神経終末感受性低下鎮痛
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