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理由で解く 看護師国試

Q112A112 精神看護学

出典:第112回看護師国家試験(2023)午前 問112
問題
Aさん(20歳、女性)は境界性人格〈パーソナリティ〉障害の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。
Aさんは救急外来で治療を受け会話ができるまでに回復した。Aさんへの看護師の最初の対応で適切なのはどれか。
選択肢
1 過量服薬した場面の振り返りを促す。
2 現在の希死念慮の有無について確認する。
3 大量の睡眠薬を飲まずに残していた理由を追及する。
4 Aさんと看護師の間で二度と過量服薬しないと約束する。
解答
正解2(現在の希死念慮の有無について確認する。)
解説

自殺企図直後の患者にはまず再企図のリスク評価、すなわち現在の希死念慮の有無の確認が最優先である。

Aさんは睡眠薬の過量服薬による自殺企図の直後であり、身体的に回復しても自殺の危険性は依然として高い状態にある。自殺企図後の看護で最初に行うべきは安全の確保であり、そのためには現在も死にたい気持ち(希死念慮)が続いているかを率直に確認する必要がある。希死念慮について直接尋ねることが自殺を誘発することはなく、むしろ「気にかけてもらえている」という安心感につながり、リスク評価と再企図予防の出発点となる。振り返りや理由の追及は患者を責める形になり、時期尚早である。

✗ 1. 誤り
過量服薬した場面の振り返りを促す。
回復直後の振り返りは自責感や心理的動揺を強めるおそれがあり、心理状態が安定してから行う。最初の対応ではない
✓ 2. 正しい
現在の希死念慮の有無について確認する。
再企図リスクの評価として最優先。率直に尋ねることは自殺を誘発せず、安全確保の基本である
✗ 3. 誤り
大量の睡眠薬を飲まずに残していた理由を追及する。
大量の睡眠薬を飲まずに残していた理由を追及する:「追及」は患者を問い詰め責める対応であり、信頼関係を損なう
✗ 4. 誤り
Aさんと看護師の間で二度と過量服薬しないと約束する。
いわゆる「自殺しない約束」は再企図の防止効果が実証されておらず、患者に本心を隠させたり看護師側の安易な安心につながる危険がある
ポイント
  • 自殺企図直後は再企図リスクが高く、最初に希死念慮の有無を直接確認する
  • 希死念慮を尋ねることは自殺を誘発しない(TALKの原則:Ask)
  • 振り返り・理由の追及・「自殺しない約束」は初期対応として不適切
比較表
自殺企図後の初期対応の原則(TALKの原則)
原則内容
Tell心配していることを言葉で伝える
Ask希死念慮について率直に尋ねる
Listen訴えを傾聴し、批判・説得をしない
Keep safe安全を確保し、危険なら1人にしない
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