学習トップ理由で解く 看護師国試第9章 ▸ 状況設定 / Q112A113

理由で解く 看護師国試

Q112A113 精神看護学

出典:第112回看護師国家試験(2023)午前 問113
問題
Aさん(20歳、女性)は境界性人格〈パーソナリティ〉障害の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。
Aさんは身体的な治療を受けた後、精神科病棟に入院することになった。入院3日の22時、Aさんがハサミを貸してほしいとナースステーションに来た。日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能という主治医からの指示を伝えると「看護師Bは貸してくれたのに。こんなひどい対応をする看護師はあなただけだ」と話し、その場を動かない。このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
選択肢
1 ハサミの使用目的を聞く。
2 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。
3 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。
4 Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。
解答
正解1(ハサミの使用目的を聞く。)
解説

治療上のルール(限界設定)は一貫して守りつつ、まず要求の背景にあるニーズ=使用目的を確認し、代替方法を一緒に考える。

境界性パーソナリティ障害の患者では、対人操作やスタッフの分断(スプリッティング)が生じやすく、決められた治療構造・ルールをチームで一貫して守ることが治療の基本となる。夜間はハサミを貸せないという指示は守る必要があるが、頭ごなしに拒否するのではなく、まず「何に使いたいのか」という使用目的(ニーズ)を確認することで、Aさんの訴えを受け止めながら夜間でも可能な代替手段(看護師が代わりに切る等)を検討でき、対立を回避して援助的な関わりにつなげられる。

✓ 1. 正しい
ハサミの使用目的を聞く。
要求の背景にあるニーズを把握する対応。ルールを守りつつ訴えを受け止め、代替方法の検討につながる
✗ 2. 誤り
看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。
主治医の指示(日勤帯のみ貸出可)に反する。要求に応じてルールを曲げると限界設定が崩れ、操作的行動を強化する
✗ 3. 誤り
看護師Bが誤った対応をしたと説明する。
患者の前で他のスタッフを非難することになり、スタッフ間の分断(スプリッティング)を助長する
✗ 4. 誤り
Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。
Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える:一方的な拒否で、Aさんのニーズを確認せず対立を深める。貸せない理由の説明としても指示内容とずれている
ポイント
  • 境界性パーソナリティ障害では治療構造・ルールの一貫した維持(限界設定)が基本
  • 要求をそのまま通す・一方的に拒否するのではなく、まずニーズ(使用目的)を確認する
  • 患者の前で他スタッフの対応を批判しない(スプリッティングを助長しない)
比較表
境界性パーソナリティ障害患者への対応の原則
原則具体例
一貫性の保持取り決めたルール・治療構造をスタッフ全員が同じように守る
ニーズの把握要求の背景を確認し、可能な代替手段を提案する
中立性の維持特定のスタッフを良い/悪いと評価する言動に同調しない
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 看護師国試
App Store入手