学習トップ理由で解く 看護師国試第5章 ▸ 一般 / Q106P120

理由で解く 看護師国試

Q106P120 成人看護学

出典:第106回看護師国家試験(2017)午後 問120
問題
Aさん(32歳、女性)は、営業で外出の多い業務を担当している。1か月前から発熱、倦怠感、関節痛および顔面の紅斑が出現し、近くの医療機関を受診したところ全身性エリテマトーデス〈SLE〉と診断され治療目的で入院した。入院時所見は身長160cm、体重55kg。血圧142/80mmHg。血液検査データは、白血球4,400/μL、血小板17.5万/μL、Hb12.5g/dL、クレアチニン2.5mg/dL、抗核抗体は陽性であった。
Aさんはプレドニゾロン60mg/日のステロイド治療が開始となった。Aさんへの説明で適切なのはどれか。
選択肢
1 「食事の制限はありません」
2 「倦怠感が強いときは薬の中止を検討します」
3 「薬の影響で気分が大きく変動するかもしれません」
4 「職場復帰に備えて天気の良い日は散歩しましょう」
5 「治療で病状が改善すると抗核抗体が陰性になります」
解答
正解3(「薬の影響で気分が大きく変動するかもしれません」)
解説

副腎皮質ステロイドの副作用には精神症状(気分の変動・不眠・多幸感やうつ)があり、事前に説明することが適切。

プレドニゾロン60mg/日は高用量の副腎皮質ステロイドで、多彩な副作用がある。中枢神経系への作用で、気分が高ぶる、眠れない、逆に落ち込む、いらだちやすいといった精神症状〈ステロイド精神病〉が生じうるため、あらかじめ説明しておくことは適切である。ステロイドはナトリウム貯留や食欲亢進を来すため塩分・エネルギー制限など食事管理が必要で『制限はない』は誤り。自己判断での中止は原病の再燃を招く。また急にやめると、血圧の低下や強い倦怠感といったステロイド離脱症候群が起こるため『倦怠感で中止』は危険で、減量は医師の指示のもと少しずつ行う。SLEでは日光(紫外線)によって皮膚症状や全身の症状が悪化することが多く、加えて高用量ステロイドで易感染となるため、『天気の良い日に散歩』は日光と感染の両面で不適切である。外出するときは長袖・帽子・日焼け止めで肌を覆い、人混みを避けるよう伝える。抗核抗体は病勢が改善しても陰性化しにくいため『陰性になる』も誤りである。

✗ 1. 誤り
「食事の制限はありません」
ステロイドはナトリウムをためこみ食欲も高めるため塩分とエネルギーの制限が要る。クレアチニン2.5mg/dLと腎機能も低下しており、蛋白質の量も医師・管理栄養士と相談して調整する
✗ 2. 誤り
「倦怠感が強いときは薬の中止を検討します」
倦怠感だけで中止すると再燃やステロイド離脱症候群を招く。だるさが強いときは自己判断で減らさず、医師に報告して相談する
✓ 3. 正しい
「薬の影響で気分が大きく変動するかもしれません」
高用量のステロイドでは気分の高ぶりや落ち込み、不眠が起こりうる。前もって伝えておくと、現れたときに患者が受け止めやすく、受診の目安にもなる
✗ 4. 誤り
「職場復帰に備えて天気の良い日は散歩しましょう」
SLEでは紫外線で症状が悪化することが多く、高用量ステロイドで感染にも弱い。散歩を勧めるのではなく、外出時は長袖・帽子・日焼け止めで遮光し、人混みを避けるよう伝える
✗ 5. 誤り
「治療で病状が改善すると抗核抗体が陰性になります」
抗核抗体は治療で病状が落ち着いても陰性になりにくい。病勢の目安には抗ds-DNA抗体や補体価を用いると説明する
ポイント
  • 高用量ステロイドの副作用に精神症状(気分変動・不眠・うつ)
  • 自己判断での中止は禁忌(再燃・副腎不全)
  • SLEは光線過敏+ステロイドで易感染→日光・感染に注意
  • ステロイドでNa貯留・食欲亢進→食事管理が必要
  • 病勢の目安は抗ds-DNA抗体・補体価(抗核抗体は陰性化しにくい)
比較表
副腎皮質ステロイドの主な副作用
分類副作用
精神・神経気分変動・不眠・多幸感・うつ
代謝・体液食欲亢進・体重増加・Na貯留・高血糖
感染・骨易感染・骨粗鬆症・消化性潰瘍
中止関連自己中断で原病再燃・副腎不全
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。

この問題をアプリで理由で解く 看護師国試
App Store入手