学習トップ理由で解く 解剖学第10章 ▸ M. 下肢の筋 / Q0974

理由で解く 解剖学

Q0974 運動器系

出典:鍼灸 第22回(2014) 問題20
問題
腸脛靭帯について正しいのはどれか。
選択肢
1 下前腸骨棘に付着する。
2 大殿筋が停止する。
3 大腿の内側面にある。
4 下腿筋膜が肥厚したものである。
解答
正解2(大殿筋が停止する。)
解説
✗ 1. 誤り
下前腸骨棘に付着する。
腸脛靭帯は腸骨稜(上方)から下方へ垂直に走り、遠位端は脛骨外側顆(Gerdy結節)に付着する。下前腸骨棘は大腿直筋の直頭と腸骨大腿靭帯の付着部であり、腸脛靭帯は付着しない。
✓ 2. 正しい
大殿筋が停止する。
腸脛靭帯は大腿の外側面で大腿筋膜が特に肥厚した帯状の強靭な靭帯で、腸骨稜から脛骨外側顆に至る。大殿筋はその筋線維の約3/4が腸脛靭帯に停止し(残り1/4は大腿骨の殿筋粗面に停止)、上殿神経に支配される大腿筋膜張筋も腸脛靭帯に停止する。両筋は腸脛靭帯を緊張させることで膝関節を伸展位で固定し、体幹の直立位維持に寄与する。
✗ 3. 誤り
大腿の内側面にある。
腸脛靭帯は大腿の外側面にある肥厚した筋膜で、体表から大腿外側を縦走する硬い索状構造として触知できる。大腿の内側面を縦走する筋膜の肥厚には相当する特別な靭帯はなく、内転筋群を包む筋膜があるのみである。
✗ 4. 誤り
下腿筋膜が肥厚したものである。
腸脛靭帯は大腿を包む「大腿筋膜」の外側部が特に肥厚してできた靭帯であり、下腿筋膜ではない。下腿筋膜は膝関節より遠位で下腿を包む筋膜で、腸脛靭帯とは連続するものの別個の構造である。
ポイント
  • 腸脛靭帯は大腿外側の大腿筋膜が肥厚した強靭な帯で、腸骨稜から脛骨外側顆(Gerdy結節)に至り、大殿筋と大腿筋膜張筋が停止する。
  • 覚え方のコツ: 「腸脛=腸骨→脛骨」と名前が起始停止を表す。停止腱を持つ2筋は「上の上殿神経(大腿筋膜張筋)」+「下の下殿神経(大殿筋)」とペアで覚える。
  • 関連知識: 大腿筋膜張筋は上前腸骨棘から、大殿筋は腸骨後面・仙骨・尾骨から起こり、両者は腸脛靭帯を介して膝関節伸展位の直立姿勢維持に協働する。立位のまま楽に立てるのは腸脛靭帯の張力による。
  • よくある間違い: 下腿筋膜の肥厚と勘違いする/内側(鵞足側)にあると誤る/起始を下前腸骨棘と混同する(下前腸骨棘は大腿直筋直頭の起始)。
  • 臨床応用: ランナーに多い「腸脛靭帯炎(ランナー膝)」は、膝屈伸のたびに腸脛靭帯が大腿骨外側上顆と摩擦し炎症を起こすもので、膝外側の疼痛を呈する。
比較表
項目 内容
本態 大腿筋膜の外側部の肥厚
起始 腸骨稜
停止 脛骨外側顆(Gerdy結節)
停止する筋 大殿筋(下殿神経)、大腿筋膜張筋(上殿神経)
機能 膝関節の伸展位固定、直立姿勢の保持
解説画像
鍼灸 第22回(2014) 問題20|腸脛靭帯について正しいのはどれか。 解説図
鍼灸 第22回(2014) 問題20|腸脛靭帯について正しいのはどれか。
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